AV評
Text by 清川 東

 
Fin
プロデューサー 丸山 新 撮影 矢部克己 監督 さいとうまこと

 はじまるとまだ1分40秒で唐突にエンドタイトルが出てしまうが、
これはオープニングタイトル。80年代の色めきをもつ女優・渡瀬ミク
は夏目雅子を彷佛とさせる。今作はあえてあえぎ声以外はサイレントな
のでその人柄はのぞけないが、前作などのインタビューではそのコケテ
ィッシュさが太地喜和子を彷佛とさせた。タイムスリップすれば原宿の
竹下通りですれ違えたかもしれない、AV創設期を支えた女優の1人。
美少女度★★★★★ モザイク★★★☆☆ ヌケる度(ヌケません)

 
青空に星いっぱい
プロデューサー 丸山 新 撮影 矢部克己 監督 さいとうまこと

 尾道といえば夢みがちの少年をそのまま映画監督にしてしまった叙情系・
大林宣彦カントクの生誕地である。どこかなつかしくせつないかもしれな
い…、この作品はその全篇尾道ロケでつくられている意欲作。AVなのに
カラミのシーンはおろかオナニーシーンさえないという試みがかえってこ
の作品の存在意義を強めている。いわば行間しかないような夢をみている
ような初恋を想い出すような感覚。セーラー服の似合う秋元康…、いや秋
元ともみは尾道をかけ、時をかける。そっけない内容ながらもなおさらに
ゆさぶられる80年代中頃の潔き伝説の1本。
(中古販売価格3万5千円・新宿ビデマ調べ)
美少女度★★★★★ モザイク☆☆☆☆☆ ヌケる度(ヌケません)

 
廊下は静かに
プロデューサー 丸山 新 撮影 矢部克己 監督 さいとうまこと

 泉谷しげるの名曲「春夏秋冬」をカバーしているのは福山雅治だけでは
ない。ショートカットの美少女・小森愛が返り血を浴びながら歌う「春夏
秋冬」は本当にスゴい。男子校になぜか一人いる女子校生が性的イジメを
受けながらも恋する男子を通して異性への興味を芽生えさせていく。いつ
しか異性への羨望と絶望から少女の心は破たんし殺りくをくり返していく。
しかしどこかユーモアがありミュージカル仕立てでもあり思春期の鼓動に
胸をつまらせながらも観後感はすがすがしい。発表後15年近く経った今
でも新しく、誰もマネができない名作。
美少女度★★★★★ モザイク☆☆☆☆☆ ヌケる度(ヌケません)

 
IV評