市原生活


引っ越して、仮住まいでの生活がスタートした。

それまで3年半ほど暮らした千葉市若葉区を後にして、市原市での新生活が始まった。それまで住んでいた家は売却し、今は別の人たちが暮らしている。そして、少々手狭となった見晴らしの良いマンションの3階が、これから半年ほどの間、我が家となるわけだ。

もともと、この近くで幼い時期を過ごしたこともあって、なんというか一種の懐かしさを感じる土地だ。妻と子も、今のところはそれなりになじんでいるようだ。というか、とある事情から妻などは狂喜乱舞していたりするのだけど。

それまで住んでいた都賀という町は、一応、千葉の中心である千葉市内だし、僕の田舎であるとなりの市原市よりは多少はマシで暮らしやすいという印象があったのだけど、いざ市原に移ってみて、これがどうやら間違いらしいことがなんとなくわかってきた。

市原(というか、「五井」という街)は、田舎のくせに、暮らしやすそうなのだ。といっても、「我が家にとって」という意味だけどね。その理由をいくつかあげておこう。

・坂道が少ない。それまで住んでいたところは、家の前が既に急坂という感じで、どこへいくにも坂の上り下りだらけだった。が、ここはそれほどでもない。市役所のある国分寺台のあたりはそれなりに坂もあるが、それまで住んでいたあたりに比べれば「屁」のようななだらかな坂ばかりだし、五井の周辺はまっ平。自転車で果てしなくどこまでもいけそうだ。

また、道路もかなり整備されており、直線の幹線道路をいくつか覚えれば、五井周辺はたいていのところにいける。更にほとんどの店が駐車場完備で、都賀のように「駐車場を探してうろうろ」することがない。車で暮らすには、はるかにこちらがよい。

・食べるものに関して、市原(五井)は都賀より遥かに進んでいる。まず、パン屋が多い! 知らなかったのだけど、五井は千葉の「パン屋激戦区」なんだそうで、自転車で回れる範囲内に数件、車でちょっといける範囲なら十件ぐらいは、おいしいと評判のパン屋がある。更には、家の周辺にこれまた「おいしい」と評判のケーキ屋さんが3件。既に娘の顔は引っ越し前より遥かに丸まるしてきている。危険だ。

また、涙を流すほどに感動したのが、五井にあるインドカレー「デュワン」である。これはもう、全国区級のおいしさ! 東京で妻とよく食べにいった某有名店などにも引けを取らない、いや、下手をすると超えるほどの絶品カレーだ。なんで? なんでこんなド田舎に、こんなうまいインドカレーの店があるんだ?

ともかく、普段使いのパン屋さんとケーキ屋さんが、ごく当たり前のように「おいしい」と評判の名店であるというのがすばらしい。わざわざ車で遠くまで出かけるのでなく、ちょっとお昼を買いに歩いていける近所のパン屋さんが、千葉でも有数の名店なのである。こんなぜいたくが他にあるだろうか。

また、仮住まいはマンションの3階なのだけど、そこから見える景色も実にいい。何もない、だあああああっと開けた畑と田んぼの中にぽつりぽつりと家や店が点在する、いかにもな田舎の風景。その向こうに、真っ白な冬の富士。こんなのんびりした風景を、僕は長らく見ていなかった気がする。

更にいえば——ここで半年暮らせば、その先には、待望の「新居・ログハウス」が待っているのだ! これで楽しくない方がどうかしている。楽しみいっぱいな、市原生活の始まり始まり、なのだ。

公開日: 月 - 3月 19, 2007 at 06:13 午後        


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