「ログハウスなんかにして大丈夫なの?」


・・・と思われている方へ。大丈夫です。少なくとも、大手のハウスメーカーなんかで建てるよりは、はるかに。

お盆休みで現場もしばらくは変化なし。というわけで、「ログハウスなんぞを建てようとしている希有な人間の一人」として、世間一般の皆さんが持っている「ログハウス」というものへの偏見について書いてみようと思う。


「ログハウスって、火事になったら近所に迷惑じゃない?」

ログハウスは「火事に弱い」と思われているようだ。そう思っている人に、「建材の中でも、木は燃えにくいほうなのだ」といっても「はぁ?」と思われるだろう。そう、木は燃えにくいんだ。だから、木でできたログハウスも燃えにくい。現に、僕らが建てているランタサルミというログメーカーは、準耐火構造に認定されており、一般の住宅街でも普通に建てることができる。

「木はよく燃える」というのは、これは板きれなんかの場合で、「木のかたまり」というのはなかなか燃えない。いや、最初表面は燃えるんだけど、燃えた部分は炭になるため、そこで延焼がストップするんだね。だから、木の壁は表面だけ燃え、中までは燃えないようになっている。

一般的な建築方式の中でもっとも火に弱いのは、実は「鉄筋コンクリート」だ。鉄というのは、意外に熱に弱い。火事になって高温に晒されると、熱で鉄骨がぐにゃりと曲がってしまう。燃えはしないが、家としてはこりゃ住めないわね。


「ログハウスって、すきま風や雨漏りするんでしょ?」

こういう人、多い。困ったもんだね。確かに「そういうログハウスもある」よ。ただね、住宅用に建てているものでしっかりしたところの施工なら、こういうことはまずない。

ログハウスといっても、いわゆる「丸太小屋」みたいなものと、「マシンカット」といって機械で製材したログ材をくみ上げたものとはかなりモノが違う。我が家もだけど、普通、住宅用に建てるのはマシンカットのログハウスだ。これはコンピュータ制御できれいに製材してあり、材のでこぼこ(ノッチという)をきれいにはめ込むようにしてくみあげるため、すきま風も雨漏りもまずない。まぁ、台風で猛烈に横殴りな雨などになったら、隅っこの隙間からじわ〜っと雨がにじんでくることはあるそうだけど、少なくとも「木と木の間から雨がぽたぽた」ということはありません。

また、毎日のようにペンキを塗ったり補修したりしないといけないように思っている人もいるけど、ランタサルミの場合、5年後に一度塗れば、その後は10年ごとぐらいに外壁塗装をするだけで、それ以外のメンテナンスはほとんど不要であります。


「丸太小屋みたいなダサイ家に住めるの?」

まったく「ログハウス=丸太小屋」と思う人が本当に多いんだよね。今のマシンカットのログハウスは、イメージとしては「輸入住宅」です。おそらく、見た感じが一番近いのは、スウェーデンハウスなんかじゃないだろうか。——いやいや、もちろん、スウェーデンハウスのような有名なハウスメーカーとは違いますよ。ちょっとだけ……「カッコいい」けどね。

これもランタサルミ・HONKAの場合だけど、ともかくデザインがすばらしい。これは、実際にこれらのログメーカーの施工例を見てもらうしかないんだけど、おそらく何も知らずにこれらの住宅用ログハウスを見れば、「すてきな輸入住宅があるな」としか思わないだろうと思う。

実際、とある輸入住宅の営業さんと話をしていたとき、あるところに建っているモデルハウス(もちろんログハウス)を「輸入住宅のモデルハウス」だと勘違いしているのを知ってしまった。プロでも、ログハウスの特徴などを知らなければ気がつかないぐらい質の高いログハウスはあるのです。


「ログハウスの長所って、なに?」

ログハウスといっても山ほどあるけど、ここでは僕らが検討した「ランタサルミ」と、最後まで迷っていた「HONKA」のマシンカット・ログハウスを前提にして答えることにしたい。

・空気がきれい。
なにしろ、全部が木であります。ほとんど毎日、森林浴をしているような感じだ。建てて1年ほどのモデルハウスに何度か行ったけど、それでも木の香りがすごかった。なんでも、建築して数年ぐらいは新築の家よりはるかに木の香りがたっぷりとするそうだ。

・温度と湿度が心地よい。
ログハウスは、夏涼しく、冬暖かい。木は、天然のもっとも優れた断熱材だ。実際、何度も現場にいって確認したけど、どんな暑い日の昼間でも、木の表面は暑くはならない。当然、その内側(家の中)も暑くはならない。また、木は呼吸する素材であるため、湿度が高ければそれを吸収し、低ければ吐き出して一定に保とうとする。といっても、これはかなり乾いた状態を保つようで、「ログハウスだと洗濯物が良く乾く」とは住んでいる人の実感だそうだ。

・静かだ。
最近の高気密住宅というのは、本当に静かだ。僕らもあちこちのモデルハウスを巡ったので、そのことは実感した。ただ、その「静けさ」は、正直いって快適とはいいがたかった。人工的に作った静穏状態というのは、かなり僕などには違和感がある。

その点、ログハウスの静けさは、自然だ。その音がわずかに漏れてくる。けれども全ては心地よく耳障りに感じない。そういう不思議な静けさがある。これは、実際に体験してみないとわからないかなぁ。

・健康になる。
これは、施工会社の社長がいっていたんだけど、「ログハウスに住むと、風邪を引かなくなる」という。本当かね?と思ったけど、少なくとも体にはいいらしい。——というよりも、僕はログハウスが健康にいいのではなく、「普通の家が、ただ暮らすだけでいかに健康に悪いか」ということなんじゃないかと思っている。実際、使用しているあらゆる建材を調べてみると、ものすごい化学物質が何年もの間、室内に漂っていることが想像できる。

ログハウスは、なにしろ全部が「木」だ。2階の妻壁や屋根はツーバイフォーなので一部合板を使っているけれど、普通の家と比べると遥かに少ない。実際、ログハウスに住んで喘息が治ったという話は良く聞く。僕も娘も喘息なので、これはかなり期待してしまったりする。


「最近の高気密高断熱住宅の方がいいんじゃないの?」

実は、ログハウスと同時にかなり真剣に検討したのが輸入住宅だった。それは、もちろん高気密高断熱住宅。全館換気、全館空調などもいろいろ調べてみた。けれど、やっぱりこれは「やめたほうがいい」という結論に達した。

その理由は、「一度設置して簡単に交換できない機器に頼る生活は危うい」と思ったからだ。全館空調のものすごいダクトのかたまりを見て、妻がぽつりといった。「これ、掃除できるの?」——そうだよな、絶対、中まで掃除するのは無理だよな、とそのとき思った。「常に清潔に保たれるようになっています」とはいうけれど、「自動掃除、カビにさよなら」とか謳っているエアコンがわずか数年でカビ臭い冷気を吐き出すようになるのを見るにつけ、「絶対に汚れないものなどこの世にはない」と思わざるを得ない。

また、全館空調というのは「絶対にスイッチを切ってはいけない」んだそうだ。以前、某ス○ェーデン○ウスのモデルハウスで、毎日空調を切って帰るようにしていたところ、温度差と湿度差から壁や床下に水がたまり、目も当てられない惨状になってしまった——という一部始終をネットで見つけ出してしまってからは、全館空調というのがおそろしいものに感じてしまうようになった。

なかよくなった某ハウスメーカーの人から聞いたんだけど、最近は大手ハウスメーカーも「高気密高断熱」から手を引きたがっている、という噂がある。どうも現状のこのシステムを湿気ムンムンの日本でうまく機能し続けるようにもっていくのはけっこう無理があるようだ。「ダメだ」といっても、春秋の快適な気候ともなれば日本人はすぐに窓を開けて気持ちいい風を室内に入れたがる。「1年中、ずっと窓を閉め切って暮らす」ためのシステムにはあわないのだ。


——以上、ログハウスにまつわる偏見をちょっとばかり払拭できればと思ったのだけど、いかがでしょうか。僕らは、大手のハウスメーカーから地方の工務店まで、うちで施工できるところの大半はモデルハウスを回ったり資料を取り寄せたりしたけれど、少なくとも「大手のハウスメーカー」で、ランタサルミやHONKAに匹敵するレベルの住宅を同価格で提供できるところはない、と断言できる。


「どうしてもハウスメーカーで建てるとしたら、どこで建てた?」

はい。木下工務店でありましょう。これは、たまたますばらしい営業さんに巡り会えたからです。ほとんどすべてのハウスメーカーの営業さんは、「ログハウスにしようかと思う」というと、懸命にログハウスの欠点をあげつらってなんとかやめさせようとしました。「それなら、うちでログハウスを建ててみせます!」とまでいったのは木下工務店だけでした。

もし、千葉県でどうしてもハウスメーカーで建てたい!というなら、現在、幕張住宅展示場にいる(はず)の、木下工務店の石田さんに相談しましょう。これ以上の凄腕の営業さんを僕は知りません。(もし、あなたがものすごいお金持ちで輸入住宅を建てたいなら、船橋のドンナハウスに行きましょう。ピアニストの営業さんが待ってます)


・・・ふっ。これで義理は果たしたな。

公開日: 月 - 8月 13, 2007 at 09:51 午後        


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