そうだ、家を建てよう!(4)


ようやく、契約までこぎ着けました。

本日、無事に(でもないけど)工務店と契約を結び、建てる家が決まりました。決定したのは、結局、ランタサルミの「Pilvi(ピルビィ)」であります。これをベースにアレンジを加え、掌田家バージョンといった感じのものになってます。


前のブログでPilviの名前を挙げてあったんで、すんなりと決まったように思うかも知れないけれど、これが実は大変でありました。でなきゃ、こんなに時間がかかるわけがない。決まるまでには、長くうねった道が続いていたのであります。

1.ハウスメーカー巡りの時代(2006年10月〜12月)
まず最初に、ハウスメーカー巡りの時期がありました。とりあえず住宅展示場を回り、モデルハウスを見学。そうしてよさそうなところをピックアップして簡単なプランをお願いしたりしよう、と思ったわけですわね。

が! 最初の段階からこれはつまずいたのでした。なんとなれば、気に入ったモデルハウスがない! スウェーデンハウスと木下工務店、東急ホームが印象に残ったぐらいで、後は「んなモデルハウス見て買う気になるかよ、けっ」というような、あまりといえばあまりにつまらないモデルハウスばかり。そりゃ、豪華でしたよ。立派でしたよ。だけど、「こんな家が欲しい」と思えるようなところが少なすぎる!

更には、いろいろ調べるにつれ、ハウスメーカーというのがいかにいい加減で顧客をなめくさったものかというのが次第にわかってきた。冗談じゃない、こんな連中につきあってられるか、けっ。向こうにしてみりゃ、あまたある客の一人だろうけど、こっちにとっちゃ一生に一度の家作りなのだ。「商売」のつもりでやってるところで建てられるかってんだ。

2.ログハウスの時代(2006年10月〜2007年1月)
ちょうどハウスメーカー巡りとほぼ重なるようにして、もう一つの路線が切り開かれつつあったのでした。それが、ログハウス。元々、スウェーデンハウスがかなりよかったので、そうした北欧系の輸入住宅を調べていたところ、フィンランドのログハウスメーカーが引っかかってきた、というところから始まったのだけど・・・。

これも、国内のメーカーはまさに玉石混淆。優秀なところもあればとんでもないところもあったりして、かなり見極めが難しい。それでもいろいろ調べたりして、HONKAとランタサルミの2社に絞り込むまでになったのでした。そして更に検討を重ね、HONKAはひとまずペンディング(ここはいつでもモデルプランで安く建てられるのがわかったので、とりあえず「最後の手段」ということにした)とし、ランタサルミで調整を重ねたのであります。

が、このランタサルミの営業さんが、とにかくのんびりしている。なかなかプランを持ってこない。ようやくもってきたのは年明けになってから。遅かったけどまあいい感じ、いいんでない? それじゃ、実際にPilviを建てた人がいるので、お邪魔して見学しましょうか、というわけで、菓子折りを持って出かけてみたのでした。

これが、よもや運命を変えるとは。家にお邪魔して15帖もある広々としたリビングを見渡す。・・・せ、狭い。二階に上がり、最高で3メートル以上はある屋根裏部屋を拝見。こ、これまた狭い・・・。あかん。こんな閉塞された空間でなんか暮らせないぞ。

こちらが予想した以上にPilviは狭かったのであります。幸い、ランタサルミの営業は信じがたいほどにのんびりしている。とりあえずちょっとした修正を期限を切らずに頼んでおき、まぁ返事が来るまでには他にいい家が見つかってるでしょ、と半ば放置プレイ、洞が峠を決め込むことにしたのでした。(←外道)

3.輸入住宅の時代(2006年12月〜2007年2月)
年末、ログハウスメーカーの絞り込みをしている頃に、妻が突然、「輸入住宅で、安く建てられそうなところがある」と言い出した。元々、輸入住宅を検討しているところからログハウスにたどり着いたわけで、輸入住宅は嫌いではない。が、東急にしろ三井にしろスウェーデンハウスにしろ、高くて手が出ないのであきらめていたのだ。

ところが、ハウスメーカーを離れたところで、実は安く本格的な輸入住宅を建ててくれるところがあったのでした。それは、フューチャー・ハウジング・システム(FHS)というところ。ここ、ハースメーカーでも工務店でもありません。ここは、いわば「輸入住宅建築のコーディネートをする会社」だ。プランを提供したり、コンペで建築士からいい設計を選び出したり、工務店のコンペで安く建てられるところを斡旋したり、そうしたトータルのコーディネートをして「いい設計事務所、いい工務店」と連携していい家を建てましょう、というわけ。なにより、Webサイトで図面を選び、内部の仕様などを設定してその場で見積もりが出てしまうというガラス張りの見積もりシステムが実にすばらしい。さっそくお願いしてプランをいくつか出してもらうことにした。

ところが、年が明けてFHSからプランを貰ったあたりで、今度は妻が「もう一つ、資料請求してみたいところがあるんだけど」と言い出した。それは船橋のドンナハウス。ここは輸入住宅専門の工務店で、非常に本格的な家を建てている。施工例を見れば、どれもこれも目を見張るほどの豪邸ラッシュ。こりゃ、とてもうちは無理だろ、と思ったのだけど、「とりあえず聞いてみるだけ」ということで渋々問い合わせてみることにした。もう1つ、コッツワールドというところもあったのだけど、こっちは文句なしに「無理」ということがわかったので、妻には泣いてもらった。

で。このドンナハウスが、それまでのすべてのハウスメーカーへの期待をすべてひっさらって持っていってしまったわけです。最初に持ってきたプランが、目を見張るほどに斬新。インパクト強烈すぎ。しかも、我が家の予算で十分建てられるという。打ち合わせを重ねるごとに、プランは目に見えるほどに変わっていく。FHS? ランタサルミ? 何だっけそれ?

なにより、あらゆる面でこちらの要望やイメージがすべてきれいに伝わり、意思疎通できたのが嬉しかった。ハウスメーカーにしろ他の工務店にしろ、こちらが勉強して「こうして欲しい」というのが、まず思ったように伝わらない。例えばレンガ一つにとっても、その積み方、色、全体の雰囲気など微妙な違いで全く印象が違うものになってしまうのだけど、そうしたニュアンスがほとんどのハウスメーカーの営業に伝わらないのには驚いた。

彼らは、営業たちは、建築の勉強などしていないのだ。ただ、「自分の会社の家」の知識だけしかない。英国風住宅を希望しているのに、南欧風のプランを持ってきたりする。そして、「間取りはどうにでも出来ますよ。外見で英国風に見せることも出来ます」という。違う。英国風というからには、英国の住宅でどのような間取りになっているか、それはなぜか、その歴史的背景や経緯などからきちんとおさえて、それを忠実に再現すべきである。それが「英国の住宅を建てる」ということではないのか。

ドンナハウスは、違った。英国風の住宅を、というと、営業さんからはすぐにこう返ってきた。「で、年代は何年ぐらいの時代が希望ですか?」——来た。来たよ本当に待ち望んでいた相手が。そうなのだ、どの時代の、どの地方の、どのぐらいの階級の人たちの家か、そこまできちんと設定しなければ英国の家は建てられない。そのことが最初の一言でお互いにわかり合えてしまった。嬉しかった。話が通じる、この人はこちらが1をいえば何も言わずとも10まで理解できる。こちらの要望を一言いえば、木霊のように何倍にもなって返ってくる。向こうが提案するアイデアも、すぐにこちらの中でピン!と音を立てて「これのことだ」とわかる。これほどまでに心地よく、高度な話をやりとりできたのは初めてだった。

もう、ドンナハウスでいくしかないだろう。この時点で、ほとんど気分はこちらに傾いていたといっていい。

4.契約前夜(2007年2月後半)
そして、いよいよ契約直前までこぎ着けてきた。ドンナハウスからは最終の図面と見積書が手渡された。が! ガーン。高い・・・高すぎる・・・。確かに、ドンナハウスはすべてにおいて高水準だった。営業の知識とセンス、使用する部材、施工技術、どれをとっても一流だ。そして・・・当然ながら、価格も一流なのだった。

急速にドンナへの思いがしぼんでいくのと相前後して、まったく忘れ去られていたランタサルミが「修正図面と見積もりができました〜」と、能天気に連絡をしてきた。こ、こいつ、1ヶ月以上も連絡なしでのほほんとやってくるなんて、ほんまに営業なのか? ・・・とりあえず見るだけ見るか、と思ってみてみたところ・・・げっ? こちらが予想していた以上に安いぞ。こちらが提示した予算より百万ほど低い金額。それで、ほぼこちらの要求は満たされている。こいつ、のんびりしてるように見えて、実はやり手なのか?(・・・ないない、それはない)

Pilviの最大のネックは、この目で見てしまったあの「狭さ」だった。が、これだけ安いのなら、残る金額で広さを「買う」ことはできるんじゃないか? 二階のべらぼうに広かった吹き抜け部分を縮小してロフトを作り、玄関と書斎部分を50センチほど広げ、更に二階の立ち上がりを40センチほど高くする。これで、一通りの修正まで入って予算ぴったり。更には、おまけでリビングの床の補強(妻が、グランドピアノをおきたいなんぞと叫びだしたのだ)まで追加してくれた。

家族会議を行い、妻は泣く泣くドンナをあきらめ、断りの電話を入れる。が、「やっぱり諦めきれない!」とばかりに、ねばるねばる。妻に押されて、今度はランタサルミの契約もやめる・・・という直前までいってしまった。おいおい、もう後がないぞ? 建てる家がなくなるぞ?

・・・さすがに、そこまで追いつめられたところで、お互いに何か憑物が落ちたようだ。改めて考えてみると、もうこの2つのプラン(ドンナとランタ)は、どちらもすばらしくよくできている。どっちにしたところで、「失敗した」ということはないだろう。

改めて、冷静に検討し直す。そして、「よーく考えよう。お金は大事だよ」ということで、こちらの経済力に見合ったもの、ランタサルミのPilviを建てることに決定したのでした。すぐさま、朝「契約を待って下さい」と取り消したのを再度電話で「やっぱり契約します」と変更。夕方にようやく契約できたのでした。1日の中で「契約撤回」と「契約撤回撤回」をした客は初めてだったかも知れない。


というわけで、かなり紆余曲折を経たけれど、当初考えていたログハウス、ランタサルミのPilvi掌田家バージョンを建てることになったのでありました。着工予定は5月、竣工予定は10月下旬。さて、後は引っ越しの準備だけだな。よしよし。

公開日: 水 - 2月 28, 2007 at 10:38 午後        


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