そうだ、家を建てよう!(1)


ひょんなことから、家作りを開始するかも知れないかも知れないかも知れない。

また家を建てようかと思ってる。

話せば長くなるんだけど、先日、父親が亡くなって、実家の土地を僕が引き取ることになったのだ。身内は東京に姉がいるだけだし、「あんた千葉に住んでるんだから」という理由にもならない理由でこっちが貰うことになった。

現在、ここには築四十年にもなろうかというボロ屋が建っている。こんな「ほぼ住めない家付きの土地」を貰っても嬉しかないが、しかし少なくとも今の家よりは広い。家のローンも間もなく終わる。となると「新たにローンを組んで実家の土地に家を建てる→今住んでいる家を賃貸に出す→賃料でローンは相殺→ウハウハ新居生活」という図式が自然と出来上がろうというものではないか。

今の家は、建て売りでばたばたと決めてしまったので、正直「家を建てる」という経験を経ずに手に入れてしまったのだね。やっぱり、せっかくなら一回ぐらいは自分で考えた家を建ててみたい。というわけで、しばらく前からモデルハウスを回ったりカタログ資料などを集めたりして回っているのでした。

それにしても、だ。「人は見た目が9割」というが、「ハウスメーカーは営業が9割」というのは確かだな、とつくづく思う。営業を見ると、だいたいその会社が見えてくる感じがする。そこが実に面白い。既に「家を建てる」ことより「ハウスメーカーをあれこれ調べる」ことが趣味となりつつある夫婦なのであった。

以下、今まで回った主なハウスメーカーについて、印象を書いておこう。

スウェーデンハウス——実におっとりとした上品な営業さん(女性の方)。家の印象通りというか、がつがつしてない。「うちはよそとは競争なんかしない。うちで建てたいという人は、そもそも他の会社なんて眼中にないから」といった自信のようなものがある感じがする。実際、スウェーデンハウスと同じものを作れるハウスメーカーは他にないだろう。

三井ホーム——お金持ちの、お金持ちによる、お金持ちのためのハウスメーカー。営業さんも、「お金持ちの苦労知らずなボンボン」という感じの若い男の子だった。が、最近は意外に安いモデルも出していて、「ひょっとしたら三井で建てられるかも」という幻想を庶民に与えてくれるようになった。ありがたいことでございますだ庄屋様。

木下工務店——さすが木下、といった感じの働き盛りの営業さん。「よそですてきな家があったら、どうぞそこで図面を作って木下に持ってきて下さい。それを元に、そこよりいい家を造ってあげますよ」といった「我こそは工務店」という自信がたっぷり、という感じ。

住友林業——家といえば「木」! 木といえば住友林業! ツーバイフォー? だめだめ。在来工法こそ最高です!というかなり自信家の営業さん。だけど「実は住友は別会社でツーバイフォーやってるから住友林業は在来しか作れないんだ」ということは内緒らしい。

SXL——エスバイエルって工法だと思ったけど、会社名だったのね。モデルハウスは実にカッコ良くて立派だったけど、さりげなく他の会社を批判したりするところにやや「お里が知れる」感が漂う営業さんでした。

ブルース・ジャパン——かなり安い金額で輸入住宅を造ってくれるので興味があったんだけど、やっぱりというかかなりの部分はフェイク。営業さんもやっぱり、かなりな部分がフェイク。

東急ホーム——すいません、まだ回ってません。だけどカタログを請求したりした感じでは、けっこういい感じ。ただ「若い人向け感」と「バブリー感」がかなり漂う気がする。

その他のウゾウムゾウたち——すんません。全く記憶に残っておりません。その程度の営業さんたちでした。

で。あれこれ回った結果、どういうことになったか?というと、「結局、普通の住宅メーカーの家はやめよう」ということになりました(笑)。ではどうするのか? ここが掌田津耶乃の掌田津耶乃たるゆえんであります。真っ当な方向へは結論は進みません。必ず、不可解な方向に進みます。

ログハウスを建てる。

というのが現時点での、もっとも有力な方向であります(苦笑)。なんでそうなったのかというと話は長くなるんだけど・・・。

・普通の建て売りに毛が生えたような家なら、今の家の方がいい。(今の家は、建て売りでけっこう狭くはあるんだけど、かなり設計が良くできていて暮らしやすい。さすが木下工務店)

・最近の高機密高断熱住宅がいいだろう、と思っていたのだけど、いろいろ調べるとこの種の家は「窓を閉め切って、密閉された室内で暮らすなら最高」であることがわかってきた。いわゆる魔法瓶構造というやつなので、要するに家の中に断絶された異空間を作ろうって考え方だからね。確かに快適に暮らせるとは思うんだけど、うちは「窓を開けっ放しで暮らす」という暮らし方をしたいので、これはちょっと向かない。うちは「快適さ」より「面白さ」が大切なのだ。

・東急ホームなどのように「かっこいい輸入住宅」はどうか?とも思った。これはこれで、かなりいい。デザインもかなりいいし、東急や三井でもローコストのシリーズだと十分買えそうな値段だったりする。しかも、さすがに東急・三井なら、安くても造った家の出来はきっと信頼できるものだろう。が、いろいろ見てみると、「あまりにカッコよすぎて、こっぱずかしくって暮らしていけない」ということに気がついた。こちとら先祖代々のド庶民である。それがチューダー様式だなんて恥ずかしくってご先祖様に顔向けできるか。(大好きなんだけどねチューダー)

・楽しく、気楽に暮らせる。かつ、普通の建て売りとは明らかに異なる個性。更には、ほどほどの快適さ。——こういう感じで探して、行き着いたのが「ログハウス」なのでありました。メンテナンスは大変そうだし、建てて数年は木が重みで沈んできて扉がガタピシするなんてこともあるかも知れない。2階はほぼ屋根裏で部屋の半分は頭がつっかえる感じだろう。だけどログハウスは思いの外に暖かいようだし、実は耐震性も高く火にも強い。なにより、面白い(笑)。こんなもんが、新興住宅地に建ったらさぞかし痛快だろう、と思うだけで「これしかない!」と感じるのでありました。

考えてみれば、「面白い」からといって、快適さを無視して夏場にエアコンも使えず頭をかがめて乗り込まないといけない旧ビートルなんぞに乗っている家なのである。まともなカローラ的家を買おうと考える方が間違いだったのだ。

続く。

公開日: 日 - 10月 22, 2006 at 02:44 午後        


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