絶対壊れない車


・・そんなものはない、と思っていた。それが実はあるんですよ。それも、遥か昔から。

ようやく昨日で自動車教習所通いが終わった。無事に卒業検定も受かり、後は本試験を受けるばかりだ。もうちょっとすると誕生日なので、それが過ぎてからぼちぼちとりにいこうと思っている。——で、そろそろ車の方も本気で考えねばなるまい、ということで、夫婦の深夜の共同作業(車の検索)もより一層真剣味を増つつある。

で、最初から国産は(一部の機種を除いて)候補から外していたので主に外車の中古ばかり見ているのだけど、いろいろ見ていくとどれもこれも「故障が多い」というのがネックになってしまうのがわかった。調べていくと、窓ガラスがドアの中に落っこちただの、走行中にファンベルトが切れただの、国産車では想像もできない面白いトラブルがいろいろと見つかって面白い。(いや、面白がってる場合じゃないんだが)

結局、外車ってのは壊れやすいのが当たり前なのか、壊れにくい外車はないのか——そう思って検索していたところ、一つだけありましたよ。ほとんど故障知らず、何年経っても部品は簡単に安価で手に入り、燃費も非常によく、50万、60万km走っても、30年、40年乗り続けてもびくともしない、まるで夢のような車が。その車とは——フォルクスワーゲン・ビートルであります。・・なるほどね。

とにかく「動かすための最低限のもの」しかないので、故障しようにも壊れる場所がない、というわけ。他にもいろいろ見ていくと、どういうわけか「古い車ほど頑丈で壊れない」ということがわかってきた。車というのは不思議なもので、車を動かすためにより便利な機能をあれこれとつけていくと、その結果、「おまけの機能」が壊れて走ることそのものができなくなる、という冗談のような状況に陥ってしまう。

そしてこれは車に限らない。どんなものであれ、それが登場して間もない頃に作られたものの方が頑丈で、どんどん機能アップし便利になったものの方がはるかに壊れやすいということはある。——実は、前に故障して修理に出していたブレッドメーカーが、またこわれてしまった。もうすぐ1年経過して保証が切れてしまうのだけど、正直、これをなおしてまた使い続けるのがよいのかわからなくなってきている。パナソニックのハードディスクレコーダも1年経たずに2度も故障した。本当に最近の製品というのは、どんなものであれ壊れやすくなった。

その機能は一体何のため、誰のための機能なのか。そういうことをメーカーはどのぐらい考えているのだろうか。そして、僕ら消費者はどうだろうか。——おそらく、僕らが望んだから、多くの便利な機能はつけられたのだろう。「便利だ!」とたいていの人が思って喜んだから、その機能は広まったのだろう。メーカーに文句を付けることはたやすい、だが一方で消費者がそれを望んでおきながら文句をいっても説得力は薄い。もし「そんな製品はダメだ」と思うのなら、それを使うことを拒否しなければならない。そうすることでしか、消費者がメーカーに自分たちの思いを確実に伝えることなどできないのではないか。

とりあえず、「便利な国産車」を拒否することから、僕にとっての理想の車探しを始めよう。僕一人が拒否しても何も変わりはしない。だが、同じように思う人々が同じように拒否し始めた時、おそらく変化は起こる。そしてその更に後に、理想の車が当たり前のように手に入る世の中が少しずつ近づいてくるのだ。もちろん、気が遠くなるほどに遠い先のことだろう、あるいはいつまで待ってもそんな世の中などこない可能性だってあるだろう、だがそう夢想しながら不便な外車を使うのは、すべてを諦めて便利な国産車に乗るより多少は楽しい気がする。——というわけで、現在、もっとも有力な候補となっているのは、ビートルと、フィアット・パンダであります。どっちも、少なくとも使って楽しそうなのは間違いないみたいだし。

公開日: 月 - 8月 23, 2004 at 02:25 午後        


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