アイスター不買運動のススメ
人権週間のまっただ中、あの「ハンセン病元患者は宿泊拒否するのが当然」というアイスターがホームページで「自分たちは間違ってない」と改めて主張だそうです。あ・ほ・か。
たかが「ホームページに自社の主張を掲載」ぐらいのことが新聞に記事として載るってことはあまりないと思うんだけど、今回のは「大きな事件」というより、そのあまりの頭の悪さに「呆れて」報道した、という感じがする。「世間的には大会社で偉そーに立派そーに見える会社でも、こんな大バカがいるんだよ、みんな注意しましょう」という意味で報道してるんじゃないのかなぁ。
既にご存知と思うけど、アイスターってのは、先の「熊本県の温泉でハンセン病元患者の宿泊を拒否したホテル」として悪名高き「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」の経営母体であります。「アイスター」「アイレディース」という化粧品関係でも有名だそうですね。が、今や「日本有数の差別会社」として有名になった感がありますね。
で、ちょっと興味があったので、この会社のホームページにいってみた。すると、確かにこの件について正式コメントがアップされてる。
「宿泊をお断りした件に関して、弊社社長は『宿泊拒否はホテル業として当然の判断であった』と正式にコメントいたしました。
この主張は、現在もなんら変更はありません。」
・・だそうです。はぁ。一体、どこをどうすれば『宿泊拒否はホテル業として当然の判断であった』なんて思えるのか?と、この会社の経営陣の脳みそを開けて見てみたいぐらいなんだけど、その後にこうありました。「2ヶ月前の予約段階で、宿泊者がハンセン病元患者であることを教えていただけなかったことにすべて起因する」んだそうです。それを知ったのは前日だそうで、既に60名の他の予約があり、それらの方々にハンセン病元患者が一緒に宿泊することを説明し理解を得ることが難しいと判断したのでお断りした、そうです。・・わかった? なんか読むだけで脳みそ腐りそうになってくるでしょ?
そうか、ここは「予約の段階で自分がハンセン病元患者であることをいわないと泊めてもらえない」ホテルなのか。じゃあ、障害者も「私、障害があります」といわないと宿泊拒否されるのか。じゃあ背中にモンモンがある人は「わし、元ヤクザじゃけん」といわないと泊まれないのか。整形美人は「わたし、元ブスです」っていわないと泊まれないわけか。ダイエットした人は「わたし、元デブです」と申告しないといけないのか。ほぉ。たかが「金さえ払えば誰でも泊れるホテル」に泊まるのに、自分の人生で隠しておきたいことや触れて欲しくないことも何もかも洗いざらい懺悔しないといけないのか、おたくのホテルは。——それとも、「結核もエイズも天然痘もコレラもチフスもペストもエボラ出血熱も全部泊まれます、でもハンセン病だけはダメです」ってことなのか?
そもそも、「宿泊する他のお客に、ハンセン病元患者が一緒に宿泊することを説明し理解を得る」ってこと自体がわからない。なんで? なんで「他のお客に説明し理解を得」ないといけないの? ホテルに泊まったら、いきなり従業員がやってきて、「すみません、実は本日はハンセン病の元患者さんがうちのホテルに宿泊されるんですが・・」とか説明にくるわけ? はぁ? 世の中のホテルって、そういうものなの? 宿泊すると従業員がやってきて、「本日は、ハンセン病元患者さんが3名と、元ヤクザさんが1名と、元ブスさんが4名と、元デブさんが20名と、元アイスター社員が1名いらっしゃいますが、いかがしますか?」とか説明しにくるの? 「あ〜、じゃあ元アイスター社員だけ断っちゃって」とか客が注文できるわけ? オレ、生まれてこの方、そんなホテルに泊まったこと一度もないぞ。なに? そうじゃないの? じゃあ、どういうことなのよ?
ホームページには、こういう記述もありました。
「弊社ではハンセン病元患者の方々に対して、人権を侵害したり、人権を無視したりすることは一切ございません。」
・・もう、その頭悪さに読んでて血管切れそうになるでしょ? 「人権」の言葉の意味、知ってる? 人権の侵害ってのはね、した側がされた側に向かって「いや、これは人権侵害じゃない」って決めるものじゃないんだよ。殴った側が、殴られた側の痛さを決められるか? 人権を侵害したかどうかというのは、「された側」が決めることなんだ。そんなの小学生にだってわかる理屈だよ。
大人と子供の一番の違い、それは「想像力」である、と思う。子供っていうのは、「自分がこういうことを他人にしたら、相手はどう思うか」とか「こういうことをしたら、この先どういう目に遭うか」ってことがよくわからない。だから相手がいやがることをしてしまったり、やってはいけないことをやってしまったりする。大人はそういうことを想像して「もし自分がこういうことをされたらこう感じるはずだ」とか「こういうことをすると、今はよくてもこの先こういう悪い目に遭うはずだ」ということがわかる。だから、やる前にブレーキをかけることができるんだね。
ところが、稀に、この会社のように幼児以下の知能しか持たない人間や会社というのも存在してしまうのが世の中の怖いところだ。こういうのは、実際に自分が同じ目に遭わないと、相手の気持ちとかが理解できないらしい。
ということなので、彼ら自身のためにも、「アイスターお断り」をみんなで宣言しましょう。せっかく楽しく旅行するんだから、こんなクソいまいましい気分になるホテルを使うのはやめましょう。せっかく美しくなるために化粧品を使うんだから、こんな心が醜くなる化粧品を使うのはやめましょう。そして、「お前たちだけはダメだ」といわれたらどんな気持ちになるか、彼らによく教えてあげましょう。——さあ、皆さんご一緒に!
「アイスター、お断り!!」
公開日: 火 - 12月
9, 2003 at 01:37 午後