新撰組ですかい?


今年の大河ドラマは新撰組だそうだ。
だけど、なんで新撰組ってこんなに人気があるんだろうね?

どうも皆様、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
(なんて台詞を既に七草がゆの頃になって書くもんじゃないな、あーこっぱずかしい)

今回の大河ドラマは、ちょっと気になっている。いや、新撰組だからでなくて、三谷さんの脚本だからだ。——年末に3人の脚本家の競演といった形で6話完結のドラマ「川、いつか海へ」ってのをやってて、一通りハードディスクに落として年末年始に見ていたんだけど、さすがに三谷脚本は抜きん出て面白かったね。倉本さんの最終回なんかは「なんじゃこれ?」って感じで、もうこの人がすばらしい脚本を書ける時代は終わってしまい同じことをうだうだ繰り返すことしかできないことを露呈してしまった出来だったし、野沢尚さんのも相変わらずグズグズしてるだけでイマイチだったけど、三谷さんはさすがきっちりと楽しませてくれる内容だった。なもので、三谷さんがやるってからには、それなりの仕掛けを考えてるはずだって楽しみになってくるんだよね。

だけど、なぜに今、新撰組なんだろう。——と思っていたら、先日、新聞にこんなことが出ていた。「新撰組、若者世代に人気」・・ま、人気ったって「ごく一部に」だろうけど、意外に「沖田様ラブ〜!」「土方様ラブ〜!」なんちゅう若い子は多いらしい。で、そうした子の取材記事だったんだけど、そこでの文言を読んで、ぶっ飛んでしまった。

「彼らは、命がけで新しい時代を切り開いていった。そこに魅力を感じる、うんぬんかんぬん」

おいっ! 逆だろ、逆! 新撰組は、「命がけで新しい時代を切り開いていった人間たち」を暗殺した連中だっちゅうの! 命がけで「古い時代に固執した人間たち」だっちゅうの! どこをどー間違えば、「新しい時代を切り開いた」なんて錯覚できるんだよ?

(・・恐ろしいことに、その話をうちの嫁にしたら、嫁も「え、そうじゃないの?」とかのたまうのであった。「新撰組って、坂本龍馬とかと一緒の仲間じゃないの?」とのお言葉。どーすればいい、ええ? 日本の夜明けは遠いのか??)

おそらく、今のぬるま湯に浸ったような時代からすれば、この時代、誰もが「命がけで」生きていたことは間違いないだろう。そして、それは素晴らしいことであり、少なくとも我々よりは素晴らしい人生を歩んだ人たちであることは間違いないだろうと思う。——だが、「命がけ」というものがすべて免罪符となってしまうのは正しいのか?

例えば、命がけで航空機を乗っ取り、世界貿易センタービルに激突させたテロリストたちは賞賛されるべき人々だろうか。あるいは、命がけでイラクに出兵し、罪もない大勢の市民を殺した米兵たちは賞賛するべき人々だろうか。

新撰組を大河ドラマでやるなとか、そういうことをいってるわけじゃないよ。ただ、どうか「歴史を美化する」ことだけはやめて欲しいな三谷さん。なにより、昨今、日本が全体的に右傾化しつつあることを感じる中、新撰組を何か美しいものであるかのように錯覚させるのは、罪だよ。どうかそのあたりのことをよっく踏まえて描いて欲しいな、と思うのでした。

公開日: 水 - 1月 7, 2004 at 07:02 午後        


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