がんばれムネオちゃん
ムネオちゃんに実刑判決。まだまだ諦めてはいかんよ!
鈴木宗男被告に2年の実刑判決が出たそうであります。この人、イメージが先行してしまって、「果たして何の罪で裁かれているのか」を知らない人が多いんでないかと思うけど、行政処分や工事の受注なんかに関する口利きで賄賂を受け取ったということが問題になってるんだよね。どうも「ムネオハウス」だのなんだのとマスコミ的にウケる話ばかりが印象に残ってしまって、なんかどえらい悪人のような感じになってるんだけど、実際のとこは、歴代の汚職政治家たちの中でも割とこじんまりとしたほうだったりする。それでここまで徹底的に叩かれるのはちょっとかわいそうな気がするよ。
僕は、どうしてもこの人のことを「悪人」と思えなかったりする。この人がしたことは、そりゃあ悪いことだろう。業者から賄賂をもらって省庁の役人を恫喝してあれこれ干渉してたわけだから、誉められたことではないだろう。でも、ここまでマスコミなどが注目して一斉に報道して叩きまくるほどに悪い人なの? 要するに、「ちょこっと賄賂を取っただけ」なわけでしょ。悪いことは確かだけどさ、今まで何億とかいう単位で収賄していた連中に比べれば、彼は「雑魚」だよ。ここまで叩かなきゃいけない理由がどうもわからないんだよ。
なぜ、彼はこういう道を歩んでしまったんだろう。業者や役人の間に入り込んで悪いことに手を染めるようになってしまったんだろう。彼の何が悪かったのか。——僕は思うのだ。彼の悪かった点、それはただ一つ。「親が政治家でなかったこと」だけではないだろうか。親が政治家でもない、貧乏人の小せがれが「政治家になろう」などと大それたことを思ったこと——彼が間違えたのはそのことだけなんじゃないか。
人間は、スタートの時点からしてそれぞれ差別されている。生まれた段階で既に将来が約束されている人間もいれば、成人するまでひたすら努力し続けても上にあがることさえ許されない人間もいる。彼が政治家の息子だったら、彼はこんなつまらない悪事に走ることなく、立派な政治家になれたに違いない。国会の中を見な。たいした見識も将来の展望も世の中に対する燃えるような情熱もなく、ただ親が政治家だった、親戚が外交官だった、それだけでのうのうと政治家をやってられる人間がごまんといるじゃないか。
血筋の良さだけで政治家になり、ヤバいこと、汚いことは下っ端にやらせて、自分では悪事に手を染めずにゆうゆうと政治家人生を歩む人間。そうした人間に顎で使われひたすら汚い仕事を引き受けながらなんとかして上に上がろうともがき続ける人間。僕には、前者が善人で後者が悪人だなんてとても思えないのだ。そりゃあ、直接的に「悪いこと」をした人間が悪いのは確かだよ、けれど本当に裁かれるべきはその上にあぐらをかいて、自分では何もそうしたことに手を染めずにいる人間なんじゃないのか?
ムネオちゃんは、かわいそうだよ。多分、彼がここまで来るのに買い続けてきた苦労は、二世議員なんぞが想像もできないぐらいのものだったことだろう。彼が袋だたきに合っている姿を見ると、その向こうで「身の程知らずめ」と呟いている声が聞こえる気がするのだ。彼の姿を見てほくそ笑んでいる連中の声が。
——日本というのは、そういう国であることは確かなんだ。重要なことは、その人の能力や人間性ではなく、その人の生まれや財力で決まってしまう。血筋がいいか金持ちでなければ上へは上がれない、そういう面があることは確かなんだ。「学歴さえあれば」という人もいるけど、その学歴だって結局は「金」だ。今や東大合格者の中に親の年収が300万以下の子供などまずいない。子供にたっぷり金をかけられる人間だけがいい学歴もいい地位も手に入れられる。そうじゃないか? ムネオちゃんを見ていると、どうしてもそういうことを考えてしまうんだよね。
ムネオちゃんは、これで終わりなんだろうか。もしそうだとしたら、そんな結末はイヤだな。どうせなら、自分から甘い汁だけ吸って知らん顔をしている連中を一切合切、地獄まで引きづり込んでやって欲しいもんだ。ムネオちゃん、あんたのパワーがあればきっとできると僕は信じてるぞ。頑張れ、鈴木宗男!
公開日: 金 - 11月 5, 2004 at 06:58 午後