地動説、復活か?


小学生の4割は、太陽が地球の周りを回っていると思っているそうだ。

朝刊に、妙な記事が載っていた。国立天文台の研究チームが、天文関係の学習を終えている小学校4〜6年生の児童に天文に関する調査をしたんだけど、「4割の子供が、太陽が地球の周りを回っていると考えていた」「3割近くが、太陽がどっちに沈むか知らなかった」という結果が出たんだそうだ。

そこでは、今の学習指導要綱に関する矛盾点が指摘されていた。今、小学校では「地球が太陽の周りを回っている」とか「地球が自転している関係で、太陽は東からのぼり西に沈む」といった、太陽と地球の関係について教えていないんだそうだ。が、中学では、それらは理解しているという前提で理科の授業が開始される。これは問題だ、学習指導要綱を見直すべきだ、ということを訴えておりました。

いわんとすることはわかるんだけど、どこか違うんでないか?と思うのは僕だけだろうか。——だいたい、「地球が太陽の周りを回っている」とか、「太陽は東から昇って西に沈む」とか、小学校の授業で習ったから知っているんだろうか? 違うだろう? 生きていく上で知っておくべき全ての事柄は学校で習うのだろうか? 少なくとも「常識」と呼ばれるものについては、親や、友達や、本や、テレビや、そういうものの中で自然に身につけるはずではないか。

僕が驚いたのは、「ってことは、多くの家では、お父さんと太陽や地球や宇宙や自然について話をしたことなどないのか」ということだった。——例えば、宇宙の果てはどうなっているの?とか。例えば、月には生き物が住んでいるの?とか。例えば、恐竜は本当にいたの?とか。例えば、雨はどうして空から降ってくるの?とか。例えば、赤ちゃんはどこから生まれてくるの?とか。訊くだろ、普通? そういうことも別に知りたいと思わないような子供ばかりなのだろうか。そういうのも知りたいと思わないような子供たちを世の親たちは育ててしまっているんだろうか。

昔、「お父さん」ってのは、子供にとって「どんなことでも知っていて、訊けば何でも教えてくれる人」だったはずだ。そうして、全く新しい世界のことを見聞きして、子供たちは世界への興味を育んでいくのではなかったか。「パパ、ママ、○○ってなあに?」「学校で先生に聞きなさい、以上」でおしまいな家庭が増えているんだろうか。あるいは、「赤ちゃんはどこからくるの?」「コウノトリさんが運んでくるのよ、以上」でおしまいにしている家庭ばかりなんだろうか。
 そういえば、前にこういうジョークを聞いたよ。

「ママ、赤ちゃんはどこから生まれてくるの?」
「それはね、コウノトリさんが運んでくるのよ」
「だから、その運んでくる赤ちゃんは、どこから生まれてくるの?」

・・どうだ、答えられるか、世間のママよ。
 「子供騙しのステレオタイプな答え」や「面倒なことはすべて『先生に聞け』でおしまい」という親が増えているのだろうか。僕なんか、娘がもっと大きくなっていろいろ会話できるようになったら、教えてやりたいことが山のようにあって胸の中ではち切れんばかりになっているっていうのに。なぜ、教えてあげないのだろう。地球と太陽のダイナミックな関係を。雨が空から降ってくる素晴らしいメカニズムを。赤ちゃんがママのお腹から生まれてくるという奇跡を。「子供にそんな話はわからない」と思っていないだろうか。舐めるなよ、子供の理解力を。こいつらは、生まれたばかりの何一つ知らない状態から、ほんの10年かそこいらで、世界のありようを理解するところまで成長するんだぞ。お父さん、お母さん。あんたら、この10年の間に、一体どれだけのことを学べたっていうんだい?

話してやろうよ、子供に。さまざまな世の中の不思議を。お前たちはこんなに素晴らしい世界に生きているんだということを。なにもそこまで学校の先生にやらせることはあるまい。っていうか、そんな面白い部分を、なんだって教師ふぜいに渡さなきゃならないんだ?

公開日: 火 - 9月 21, 2004 at 04:55 午後        


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