エッチ禁止条例
・・なんてものを本気で考えているところがあるらしい。本当か?
朝刊を読んでいたら、なんか妙な記事を見つけてしまった。東京都で、「青少年の性交渉年齢を制限する条例」を検討しているんだそうだ。「中学卒業前の性交渉は好ましくない」というような形で条文化を考えている、ということなんだそうで。昨今の青少年の性の乱れが青少年の育成になんたらかんたらとかいう、要するに「読むだけ時間の無駄」なことが書いてあった。
これも、石原慎太郎という人間が都知事になったから浮かんできた考えなんだろうか。こんなもん条文にして、どうしようってんだろう。まさか、「セックスしてないかどうか学校で検査を実施する」なんてこといいだしたりしないだろうな。こんなもん、どうやって調べるのだ? で、調べた結果、「やっちゃってる」とわかったら、どうするつもりなのだ? 単に「そういうことはして欲しくないと思ってるんだ」ってことを世間に知らせるために作るだけなのか? 地方自治体の条例だの条文だのってのは、知事の思想を知らしめるために勝手に作っていいものなのか?
昨今の性体験の低年齢化が青少年の健全な育成に悪影響を与えている——脳みそが腐りそうな文章だが、そういうことを本気で考えている人間は多いんだろう。「子供がセックスなんかするんじゃない」と、いつの時代もオトナはいってきた。そう、「いつの時代も」だ。だがね。そもそも「十代のセックスが悪い」なんてのは、せいぜいこの数十年の間に生まれた程度のものなんじゃないのか? そういうことを偉そうにいってるじいさんたちが子供の頃は、「十五でねえやは嫁にいき」だったのだ。貧乏人の娘は、12か13で女郎に売られて売春させられていたのだ。男は15にもなれば「筆おろし」だとかいって赤線に連れて行かれたりしたのだ。日本とはそういう国だったのだ。それをいかにも「自分たちが若い頃はもっと性のモラルも倫理もしっかりしておった」といわんばかりの人間など誰が信用するものか。
そもそも、そんなものを「条例で決めよう」という発想自体が理解できない。本人以外の人間が干渉することも管理することもできないような事柄を社会の制度として決めようという感覚が全くわからない。こうした「明確にすることのできないことを取り締まる」ということは、たいていの場合、2つの道のいずれかを歩むことになる。1つは、「結局、何の役にも立たなくて有名無実化する」という道。そしてもう1つは、「取り締まる側が勝手に人を取り締まれるようになる」という道だ。国旗国歌を強制することで学生の思想を統制しようという東京都。上半身の取り締まりが済んだら、今度は下半身か? そうして、いずれは人間の人格を丸ごと管理しようと考えているのか?
・・考えてみれば、都知事の石原慎太郎という人間は、「太陽の季節」で小説家デビューした人間だ。——あれ、高校生がナンパして子供ができちゃったのを無理矢理中絶させる、っちゅうとんでもない話じゃなかったか? それを「これが今の若者の姿なんだ」とかいってた人間が、ふと気がつけば「青少年のセックスは制限すべきだ」ですかい? 「オレが若い頃はやりたい放題だったが、今の若者にはそんなことはさせん」ってか。一方では「東京に大賭博場を作って都が胴元になろう」とかいっておきながら。博打は青少年の育成によくて、セックスは悪いんですか。
東京都民の皆さん。お願いですから、次の選挙でこいつを落として下さい。でないと、ほんと、いずれ東京で暮らせなくなるよ。——あ。まさか、それが狙いか?
公開日: 木 - 9月 23, 2004 at 11:27 午前