新札発行に思うこと
今日から新札が流通するそうだ。すると、アレの立場は一体・・。
本日から新札(っていうか新デザインのお札)が出回るらしい。諭吉さんはそのままだけど、5千円は樋口一葉に、千円は野口英世になるとのこと。ま、そのためにわざわざ銀行に出かけるほど暇人じゃないんで実際目にするにはしばらくかかるだろうけど、どんなデザインになってるのかちょっと見てみたいもんだね。
しかし、そうなると、ますますアレの立場がなくなってくるんじゃないか?と心配するのは僕だけなんだろうか。——アレ、とは、例の「二千円札」のことでありますよ。流通してからかなりたっているはずなのに、僕なんざ1度きりしか目にしたことがない。それも何かのおつりに混じってて、「ウエ。二千円札だよ」となるべく早めに使ってしまった記憶がある。とにかく「二千円札」ってのは使い勝手が悪いんだよね。なんか中途半端で。千円札2枚の方が圧倒的に安心なんだよ。
今回の新札発行で、二千円札は「新札」ではなくなってしまった。「新しいお札だから」ってんで辛うじて興味をつなぎ止めていた感があったけど、それもなくなってますます忘れられていくことになるんじゃないか。——だいたい、今回の新札発行だって、なんで二千円札だけ除外されてるんだ? もう、見るからにみそっかす扱いじゃん。マスコミでさえ、誰も「二千円札は出さないんですか?」と聞かなかった。彼らの頭の中にさえ、二千円札の存在はまったく消えてしまってたんでないのか。
新札には、銀行のATMは既にほぼ100%対応済み。JRや私鉄の券売機も現時点で70%は対応が終わっているという。自動販売機でさえもう5割は対応済みなんだと。かたや二千円札は、現時点でさえ対応してない自販機は山ほどあったりする。今回の「二千円札以外の新札発行」は、政府が「これはもう、なかったことにするしかない」と思っての行動なんでないか?とか勘ぐりたくなったりする。新札の話題が続いているうちに二千円札を回収してこっそり使用不可にしても、誰も気づかないんでないの?
というわけで、新札が発行された現在、もっとも気になるのは「二千円札の動向」であったりするのでした。消えちゃうのかな〜、アレ。
・・それとさ、新札でもう一つなんとも気になるのが、樋口一葉。女性が初の採用ってことなんだけど、なぜ樋口一葉なんだろう。紫式部とか与謝野晶子とかいろいろ候補はあったはずなのに、樋口一葉。知ってる? 樋口一葉の作品とか。読んだことある? 名前は知ってても、どうも一般の間にはあんまり浸透してない人なんだよねぇ。どういう経緯で決まったんだろう。
与謝野晶子は「君、死にたまふことなかれ」で天皇批判をしている。ひょっとしてそのことが採用に大きな影響を与えてたんでないか?とか思うのは僕だけか。それに、樋口一葉は25歳で亡くなっている。お札の肖像としては、「女性はおばちゃんでなくて若いほうがいい」とかいったおやじな感覚もきっとあったはずだ。なにしろ、こういうの決めてる連中はみんなおっさんばかりだからね。なぜ他の人間でなくて樋口一葉なのか、そこんところをちょっと知りたい気がする。
樋口一葉は、生前は中央文壇から全く相手にされず、作品が世に出たのも大半が死後のことだった。貧乏のどん底で死んだ樋口一葉がお札の肖像になるってのは、これはなんかの皮肉ですか?とか思ったりするのでした。
公開日: 月 - 11月 1, 2004 at 02:04 午後