投票しても何も変わらない


・・・という人へ。では、投票しなかったらどうなる?

今日は、ひさびさの選挙。前回の地方選は、引っ越して間もなかったせいで選挙権がなくて悔しい思いをした。今回は、現在の地で初めての選挙となる。投票所となる幼稚園へ親子三人で出かけてきたのでした。イヤー、久しぶりの選挙、いいねえ。

ところで、今回はかなり投票率はあがるといわれているけれど、それでも依然として特に若い世代の投票率の低さは顕著なようだ。ネットなどでも「投票しても何も変わらないから棄権した、白票にした」というようなことを良く目にする。

投票しても何も変わらない。その通り。これは確かだ。1回の選挙で世の中がよくなることなどまずない。だが、「投票しても変わらない」ということをもって投票するのをやめるのは愚かなことだ。なぜなら、投票しても世の中は変わらないが、しなければ確実に悪くなるからだ。

大勢が投票しないようになるとどうなるか。一部の、自分たちの利益だけのために政治家になる人間が当選するようになる。

ちょっと計算してみよう。ここに、有権者数が10万人の自治体(選挙区)があったとする。ここでの議席は1つだけ。となると、立候補した人間が確実に当選するためには、5万票以上が必要になるわけだね。それだけあれば絶対に当選できる。5万人を買収することはこれは不可能に近いから、そうなるとより多くの人に支持される政策なりを掲げたり、あるいはあちこちで多くの人のために活動するなどの実績を重ねたりしていかないと当選するのは難しい。

が、これは投票率が100%だったらの話である。もし、ここでの投票率が1%だったらどうなるだろうか? 投票する人間は、わずか1000人になる。ということは——500票集めれば確実に当選できるのだ!

となれば、自分たちの利益のために結束し一致団結できる500人以上のメンバーを持った団体の候補者は、確実に当選できることになる。投票率の低下は、このように「より少ない人間で当選できる」という状況を生み出す。この結果、「全体ではなく、一部の確実に利益になる人間たちだけを対象とした活動をする人間が当選する」ということになる。

投票する人間がいなくてもいい。投票所で「どれにしようかな神様のいうとおり」で適当に選んで投票したってかまわない。少なくとも「大勢が投票する」という事実があれば、一部の人間の利益だけを代表する候補者は、自分たちの仲間以外の人の利益も考えなければならなくなる。

もう一度いおう。投票したって、世の中は絶対に変わらない。だが、投票しなければ、世の中は確実に悪くなる。我々には、この2つの選択肢しかない。そのどちらかを選ばなければならないのだ。そのことをどうか肝に銘じて欲しい。

「では、世の中が良くなることはないのか?」という人へ。実は、ある。投票することだ。投票しても世の中は変わらないが、それでも投票し続けていくと、不思議なことに数十年、数百年経過して振り返ると、「あの頃より世の中が着実に良くなっている」ことに気づくようになっている。それが、民主主義というシステムなのだ。

あなたが生きている間には、世の中は、変わらない。あなたが死んだ遥か後の世界のために、あなたは投票し続けなければならない。民主主義とは、そういうシステムだ。そして、今の「多くの人にとって、たいしていいわけでもない世の中」も、今から百年昔の人たちによる血みどろの戦いの末にたどり着いた約束の地なのだ。

公開日: 日 - 7月 29, 2007 at 04:34 午後        


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