我が家の新入り 



先週から、我が家に新入りがやってきたのだ。 

・・ことの発端はなんだったのか。

ホームセンターへ行ったときのこと。ぼちぼち帰ろうと娘の手を引いて歩いていると、突然、娘がイヤイヤをし始め「こっち、こっち!」と叫びだす。これはまぁよくあることで、「もっと遊びたい!」ということで、なんとか駐車場以外の場所へ我々を導こうという画策なのだ。

まぁ、しょうがないので「はいはい、わかった。ちょっとだけね」と、娘のお気に入りのペットコーナーに連れて行ったところ、そいつはそこにいたのだ。我が家の住人となる、アメリカンショートヘアの子だ。もちろん、「アメリカンショートヘア」という名前の外人ではなくて、猫だ。

ペットショップで売られている動物の値段というのはわけがわからないものがある。そいつは、普段なら絶対にパパが「うん」といわない値段で売られている、血統書付きとかいうやつだったんだけど、それがそのとき、なぜか半額で出ていたのだ。前々からうちの奥さんには「猫!猫!猫!猫!猫!猫!猫!ミシン!猫!」としつこく欲しい欲しい攻撃をされていたこともあって、なんというか気がつけばお持ち帰りしてしまっていたのだった。


 「ども。アルジェン太です。弟です。よろしく」

うちの奥さんは昔から猫好きで、以前は2匹買っていたのだけど、結婚して引っ越してきた際に実家の義母に預けてきてしまっていた。それもあって余計に「猫ちゃん恋しやほうやれほう」状態だったのだろう。既に帰りの車の中では猿に変身してうっきー状態であった。

僕はといえば猫なんぞ飼うのは生まれて初めてである。幼い頃は犬がいたり、小鳥やハムスターがいたりしたことはあったが、なぜか猫はいなかった。うちの母親がどうも動物嫌いで、幼い頃、可愛らしい息子(←僕)が捨てられた野良猫を抱えて帰ってくるという微笑ましくもいじましい光景に遭遇しても、その1時間後にはその猫は再びどこかへ運び去られてしまうという家庭であった。中野に暮らしていた独身時代、よく野良猫どもに遊ばれたりはしたが(なぜだか奴らにはもてた)、家に猫がいるという暮らしは初めてだ。

いろいろ不安もあったけど、こいつは実にあっけらかんと我が家に溶け込んでしまった。最初のうちは、ちょっと新聞を読もうとしただけでやつが膝の上に乗ってきてちょっかいを出したりと、なかなかうるさいもんだったのだけど、それもすぐに慣れた。何より、やつが来てから、娘が驚くほど成長した気がする。一日中、隙あらばやつを追いかけ回している。朝やお昼寝から起きるときも、やつの顔を見るとニコニコして起きてくる。やつが来てから、娘の不機嫌な時間は確実に激減している。

やつの名は、「アルジェン太」(通称・アル)という。フランス語の「洋銀」を示す単語からひねり出したものだ。最初はこわごわだった僕も、夜中にソファで本を読んでいるとすぐさまゴロゴロ喉を鳴らしてやってきたりすると、「おぉ、なかなかかわいいじゃん」などと思うようになってしまった。うーむ、恐るべしアルジェン太。


 すっかり我が家になじんでしまったアル。
 手前の物体は、昼寝中の娘の足。寝ぼけて噛むなよ、アル。 

公開日: 木 - 10月 6, 2005 at 03:24 午後        


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