食べましたよ、例のやつ


出かける用事があったので、前から気になってた「あれ」を食べてみた。まあまあ、いける。

久しぶりに打ち合わせで東京に出ることになった。乗り換えで錦糸町の駅を出て、少し時間があったので飯でも食っていこうか、と思ったときに思い出したのが、あれ。例の、牛丼屋さんの新メニュー「豚丼」というやつであります。ここは一つ、どんなもんか試してみるべ、というわけで駅前の吉野家さんでいただいてみました。

結論。これで250円ということなら、十分イケル。最初、一口二口は豚ということもあってちょっと違和感もあったけど、食べ慣れるとこれはこれでうまい。コストパフォーマンスもいいし、十分、牛丼の代りはつとまるんでないか。ただね、正直いって、あんまり印象に残らない、平凡な感じがしたのも確か。吉野家のそれは、味付けにしても「牛丼の代用品」を目指している感じなのだ。だから、「牛丼みたいな、豚のどんぶり」という感じで、うまくはあるけど、どうもどこかしらぼんやりした印象しか残らないんだな。

他のチェーン店では、「牛丼とは全く違う、新しい味」を考えているところもあるという。牛丼の代用品を目指すということであれば、それほど違和感なく受け入れられるのは確かだろう。ただし、牛丼が復活したとき、そのメニューの価値は失われる。牛丼とは別の味を目指したものであれば、最初はなかなか広まりにくいかもしれないが、牛丼が再開された後も一つのメニューとして継続できる。——どう考えたって、この先、何十年と米国さん牛肉が禁輸されるとは考えにくい。この状況が続くのは、せいぜいあと数ヶ月から1年ぐらいなものだろう。そのとき、果たしてどちらの道を選んだ方が成功するんだろうか。これはちょっと興味がある。

こういうことって、実は牛丼に限らずあらゆる分野であるわけで。何かの障害があってとある事業やプロジェクトが当分の間、停止となったとき、その「代り」を探すか、あるいは「全く新しい何か」を見つけるのか。その選択は意外に難しい。

実をいえば、こっちの仕事が最近、ちょっとそんな感じであったので、余計にそんなことを考えてしまったのかもしれない。あるシリーズの一冊として予定していた書籍が当分の間、できない(事実上、キャンセル)状況になってしまった。新しい企画として何を考えるべきか。——同じようなソフトウェアで似たような企画を考える、というのも一つの方法としてある。けれど、全く別のもので、同じ読者ターゲットに受け入れられるようなものを考える、という方法もある。

結局、編集者と何度かメールした末、選んだのは「新しいソフトで、新しい企画として進める」というアプローチだった。予定していたソフトとは全く別のものになるわけだから、これからまた新たに勉強し直さないといけない部分もたくさんある。ただし、それで新しい道がまた開ける可能性もある。予定していた道と同じような道を探して進むほうが確実だけれど、退屈だ。新しい道に進んだ方が、大変ではあるけれど、少なくとも「面白い」のは確かだろう。

というわけで、次に機会があったら、別の「新しい味」を目指した牛丼屋さんのメニューを試してみることにしよう。きっと、面白い工夫がされているに違いない。その結果が「まずかった」ら? うーん、ま、それはそれで「面白い経験」ができたことには違いないさ。

公開日: 金 - 3月 12, 2004 at 10:35 午後        


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