名作にうまいものなし、か?
年末年始のテレビの話題でもう1つ。「レ・ミゼラブル」はよかったねえ。
だけど、ほとんど物語の内容を忘れていたのに愕然としたのでした。
年末年始の番組でピカイチだったのは、NHKの教育テレビでやっていた「レ・ミゼラブル」ですよ。ジャン・バルジャンに、かの怪優ジェラール・ドパルデュー。ライバルのジャベール警視にジョン・マルコビッチ。うーん素晴らしい。ドパルデューは、バルジャンにはちょっとごつすぎるんでないか?と思ったけど、見てると「まさにぴったし!」と思えてくるから不思議だ。マルコビッチはもー余計な感想も不要なぐらいすばらしかった。
が。自分でもちょっとショックだったのは、「ああ無情」の話をろくに覚えていなかったことでありました。あれー、昔読んだはずなんだけどな〜。が、思い出そうとすると、なぜか「ああ無情」と「モンテクリスト伯」と「罪と罰」が頭の中で入り交じって、どれがどーだったかわからなくなってたのでした。
以前、「あらすじ本」のことを書いたことがあったけど、「あ〜こういうときに便利なのね」とつくづく思ったのであった。そうなんだよね、古今東西の名作って、ある意味「義務で読んだ」というような面があったりするので、時間の経過とともに記憶が薄らいできちゃうんだよね。子供の頃読んだものでも、ルブランの「奇巌城」とか、ドイルの「まだらの紐」とかは覚えてるんだけど、こういう名作系ってのはどうも印象が薄い。
ただ、それはオレの頭がハムスター頭であるせいだけじゃないと思う。子供向けの名作本って、どれもものすごい翻訳の仕方してあるでしょ? 「巌窟王」も「ジャン・クリストフ」も「戦争と平和」も、全部1冊に圧縮されてんだよね。そりゃ、ほとんどストーリーを追うだけの話になっちゃうよ。そんなもん読んで感動しろってほうが無茶だ。
「それぐらいに短くまとめないと、こどもたちは読んでくれない」という人。なら、読まなくていい。どんなに長くても「読みたい!」と思えば読めばいいし、イヤなら読まなけりゃいい。世の中には、好きで「大菩薩峠」を全巻読破する小学生だっているのだ。別に、無理に読ませる必要なんて全くない。——だいたい、「子供に名作を読ませたがる親」に限って、自分は全く読んだことがなかったりするんだよね。少なくとも読書好きの親ならば、子供に「無理矢理本を読ませる」ことがどんなにバカげたことがわかっているはずだから。
・・・あれ。そういえば、オレ、子供向けの名作本でなくて、岩波文庫で読んだんだよな確か。はっはっは。ちゃんとした作品でも、読む側の脳が退化したらおんなじなのね。
公開日: 水 - 1月 7, 2004 at 07:24 午後