「お」と「ご」の決着


その違いには意外にちゃんとした理由付けがあったらしい。

仕事や読者関係のメールをチェックしているうちに、ちょっと妙なところで引っかかってしまった。それは「お礼状」というやつ。——これって、「ご礼状」でないのか?と思ったんだけど、両方を口の中で呟いてみると、今は「お礼状」のほうがしっくりくるような気もする。うーん。

そういえば、前に「お返事」という言葉について、このブログで「ご返事だろう!」と書いたことがあったけど、こういう「お」と「ご」の違いってのはどういうものなんだ? と、ついあちこち検索して調べてしまったのでした。そしたら、ありました。さすが大漢和辞典の出版元。http://www.taishukan.co.jp/meikyo/index.html

どうやら、「お」と「ご」の違いは、その言葉が漢語か和語かによって違ってくるものらしい。漢語の場合は「ご」、和語の場合は「お」とつけるのが基本のようだ。「返事」も「礼状」も漢語なので、どちらも「ご」が本来正しいもののようだ。ふむふむ、オレの勘違いじゃなかったわけだな、と一安心。

が。実際問題として、こういう言葉遣いってのは時代とともに変化してくるものなんだろう。例えば、「食事」や「加減」などは、「お食事」「お加減」というのがかなり一般的に使われているよね。これらも本来は「ご食事」「ご加減」だったはず。そういう意味では、「お返事」や「お礼状」だっていずれ(ひょっとしたら既に?)ごく当たり前の言葉遣いとなるのかも知れない。だいたい、言葉を喋るときに「これは漢語だ」「これは和語だ」なんて考える人はまずいない。結局、耳慣れたほうが正しい言葉に聞こえるものなのだよね。

だから、「お礼状」という相手に「それはおかしい、ご礼状だろ」というのは、正しさの押しつけになってしまう。お返事だって、相手からすれば「それがごく自然なんだもの」という人だっているだろう。もうちょっと、そのあたりの「違和感ある日本語を話す人」に対し寛容であるべきかも知れないなと思ったのでした。

ただし! それと「だから自分がそういう言葉を使う」ということとは話が別である。向こうがそう書くのは自由だが、こちらから返信するときはきっちり「ご礼状」と添削させていただこう。それぐらいの自己主張は許されるはずだもんね。

公開日: 月 - 4月 11, 2005 at 05:18 午後        


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