知らないうちに有名人


ご存知ですか、水野亜沙美さんのことを。こういうのも「有名人」っていうのか?

週明け。週末に来た「届いた時点で既にゴミ箱に直行メール」をざっと整理していたところ、いろいろとまた面白いのが届いていた。相変わらず何通も同じ文字化けしたメールを送ってくるセントラル融資や、前にも届いた美由紀ちゃんメール(おひさしぶりで〜す、で始まるスパム)に混じって、「お? これは初めてか?」と思われるものが届いておりました。

From: asia_asami@yahoo.co.jp
Subject: 気になったのでメールしてみました。

文面からなんでも相談に乗ってくれそうな気がしたので
メールを出して見ました。このアドレスでいいんですか?

------------------------------ 水野亜沙美 ------------------------------ 


ああ。うちにもきたか、水野亜沙美さんから。彼女、実はネットの世界では知られざる有名人なのだ。みんな、こういう感じで、いかにも「アドレスを間違って送っちゃった」という感じでメールが届く。で、返信すると、「間違ってしまってごめんなさい。実は、相談に乗って欲しいことがあったんですけど、でも間違いならしょうがないですね」といいつつ、彼氏と別れてしまって悩んでいることをきっちり書いた返事が届く。で、更に親切に返事をしてやると、次第に心を開いていき、やがて「お会いしたい」といってくるわけであります。で、「ここで待ってます」というURLをクリックすると、いわゆる出会い系サイトにつながる、というわけですね。ここにいたって、ようやく一連のメールが「出会い系サイトの勧誘」だったことがわかるわけ。——が、中にはそこにいたってもまだわからなくて、有料の出会い系サイトで延々と水野亜沙美さんを待ち続ける人間もいるらしい。ま、そこが付け目なんだろうけどね。

単なるスパムと違って、最初はいかにも間違って送ってしまったように見せながら、その後、何通もメールをやり取りしてやがて盛り上がって「逢いたいです」となってくる、ずいぶんと手の込んだスパムなんだよね。ただ、やりとりする返事はたいていみんな同じものみたいなので、返事が来たら後は機械的に一定間隔で決まった返事を送っているだけなんだろう。にしても、今までのスパムとは違って、かなり手が込んでいることは間違いない。

それにしても、この水野亜沙美さん、なかなかにキャラクタ設定がよくできているようだ。23歳で、昼間喫茶店でバイトしながら夕方から服飾の専門学校に通っている。別れた彼氏っていうのはメル友で知り合った相手。でも振られたばかりなのに、ついこうしてまたメールしてしまうの・・。私って、やさしくされるとすぐに勘違いしてしまうみたい・・。彼にふられてからよく眠れなくて、ついあなたにメールしてしまうの・・。こんなとき、電話とかあえる人がいるとすぐに眠れるのにな・・。——これを、出会い系サイトをやってるひげ面の中年男が書いていると想像するとものすごく気持ち悪いのだけど、文面だけ読んで想像をたくましくすれば、なかなか男のスケベ心をうまくついているね。

それにしても、だ。多分、いや絶対に、この世の中には「水野亜沙美さん」という人間が実在していると思うのだ。思うに、本物の水野亜沙美さん、このメールが日本中のスケベ男の間に蔓延することで、かなり迷惑を被ってるんじゃないだろうか。合コンにいって「水野亜沙美で〜す」といった瞬間、相手の男性陣が全員固まってしまったり。近所の中年のおじさんから、「あ、あ、あの、亜沙美ちゃん、返事送ったから。妻には内緒ね」などと意味不明な挨拶をされてしまったり。文句をいいたくとも、誰にいえばいいのだろう。

自分の知らないところで、自分の名前が広まっていく。これは、実際に経験してみないとわからない、かなり「気色悪い出来事」だと思う。僕の場合はちょっと意味合いが違うけど、ネットで僕の名前で検索をしてみると、全く面識のない人間が僕についてあることないこと語っているのを山ほど見つけたりしまったりする。なので、水野亜沙美さんの気持ちがなんとなくわかるような気がするのだ。

頑張れ、水野亜沙美さん。こんなことでくじけないように。・・あ。でも、もしあのメールを送っているのが、本当に水野亜沙美さん本人だったらどうしようか??

公開日: 月 - 9月 13, 2004 at 04:32 午後        


©