ゲラ読みはツライ・・
昨日今日と、ひたすらゲラを読んでいる。
今回の本は、なんとPDFでゲラが送られてきたのだ。やれやれ・・・。
ともかく、デジタルメディアというのは読みにくい。現状のディスプレイでは、紙媒体と比べると圧倒的に読みにくい。まず、レイアウト済みのPDFは非常に重く、とにかく表示が遅くなる。その上、実寸表示だととても文字やイラストがつぶれて読めないため、かなり拡大して読むことになる。そうすると表示できる文章量が減ってしまい、前後のつながりなどがわかりにくくなってしまうのだ。
なにより困るのは、「まだ原稿を書いてるのにゲラ読みをしないといけない」ということ。つまり、最初の部分を渡して後半を書いていると、書いている最中に前半のゲラがメールで届いてしまうのだ。といって、後半部分の〆切が延びるわけでもない。「原稿を早く欲しいのか、ゲラチェックを先にしてほしいのか、どーせぇっちゅうねん!」という感じだ。
まぁ、昨今のコンピュータ関連書籍の不況で、ともかくどこの出版社も経費節減が必要なのだろう。紙に印刷して宅配便でやり取りすればそれだけ経費がかかる。なにより、出版にかかる時間が長くなる。ということは、それだけ人件費もかかるということだ。短期間に出すほど、確かに経費は減るだろう。
だが、そこで著者校正の部分を削られると非常につらい。——ゲラ読みしていると、うちの嫁が「自分の書いた原稿なんて、自分でチェックできるわけない」という。実は、その通りなのだ。自分の書いた原稿なので、読んでいても頭の中で先読みしてしまう。間違っているテキストがあっても、頭の中で正しい文章として読んでしまうのだ。だから普通は「校正者」が原稿をチェックし、赤入れしたものを著者がチェックする。——ところが、コンピュータ関係の書籍で、書いた原稿を校正に出すところは、現在ではほぼ皆無だ。
更には、編集者が原稿を編集するところもかなりなくなってきた。たいていの出版社では、ゲラになった段階でも自分の書いた誤字脱字がそのままになっている。要するに、「書いた原稿はすべてそのまんま著者の書いたもの、著者の責任、編集は何もタッチしてませんよ」ということなのだ。そりゃ、誤字脱字のない原稿を書けばいいのだけど、さ・・。
ときには、編集して逆に間違いが増えることなんかもある。例えば、出版社によって使う用語などが統一されていたりするんだけど、それを一括置換して、関係ないところまで置き換わってしまい意味が分からなくなったりすることもある。また、脚注や図版のキャプションなどは、レイアウトするデザイナが入れ間違えたり打ち間違えたりすることもしょっちゅうだ。そうなると、「編集者やデザイナが手を加えたものを、著者がすべてチェックし間違いを直していく」ことにになり、「一体、オレは著者なのか編集者なのか?」と内心叫びたくなることもある。
まぁ、これが仕事なんだし、こういう仕事を選んだのは自分なのだから、それも甘んじて受けるしかないのだけどね。グチだグチ。
公開日: 日 - 11月 9, 2003 at 02:43 午後