知らないうちに万博


・・をやってるらしい。ほんとに??

世間的にはかなり大きなイベントなのに全く注目されていない愛知万博。いや、そんなことはない!という人もいるのだろうけど、少なくとも関東に住む一般市民において、この週末に万博の話題が口の端に上った人などほとんどいなかったのではないか。(我が家で唯一話題に上ったのは、「ほんとにやってるんだねえ」といった突っ込み話だけでした)

ニュースなどを見れば、来場者数は予想より少し少ないようだけど、頑張って取材して「楽しかった! また来たい!」というような来場者の声も伝えていたのだけど、それが全くといっていいほどこちらの気持ちに響かないのだよね。それよか、横浜美術館でやってるルーブル展のほうがはるかに気持ちが傾いてしまったりする。——なぜなんだろう、と考えてみると、結局「何をやってるのかわからない」というのが最大の理由のような気がする。

ニュースなどを見ると、あるいは入場者の声などを目にすると、曰く「ロボットがいっぱい」、「リニアモーターカーは静かだ!」「マンモスだ!」とまぁ、そういう話題ばかりが伝わってくる。それが、よけいに「万博でやってること」をわからなくしている。——これは、環境万博だったんじゃないのか? 環境問題で、ロボット? マンモス? リニアモーターカー・・は少しはわかるけど、金のシャチホコ? 頭の回りを???がぐるぐると飛び交う。それと環境と、どういう関係があるのだろう。意味がまったくわからない。

おそらく、そんなこと考えてはいけないのかも知れない。単に「ミニディズニーランド+博物館」のようなもんだと割り切って楽しめばいいのかも知れない。だが、それならディズニーランドでいい。なにしろ千葉県民なんだから、わざわざ新幹線に乗って愛知まで行く必要などない。ルーブル展のほうが百倍安上がりで千倍は楽しいだろう。

その昔、万博というのは確かに何らかの意味があったと思う。だが、今、万博というのは何か意味があるのだろうか。万博に行かなければ得られない体験、そういうものがあるんだろうか。もちろん、それなりに楽しいことはあるだろう、だが、例えば「ディズニーランドをつぶしてその代わりに万博をやる」といって賛成する人間はいまい。誰がどう考えたって万博よりディズニーランドをとるに決まってる。USJだっていい。結局、そうした単なるイベントとしてしかとらえられないのであれば、別に万博はいらない。他にもっと楽しいものがあるのだから。万博は、ディズニーランドでは得られないものがあると思えばこそやる意味があるはずだ。

環境万博のためにどれだけの土地が切り開かれたのだろう。そして閉会後、どれだけの産業廃棄物が出るのだろうか。この万博のために消費されるエネルギーはどれほどのものだろう。それは一酸化炭素をどれだけ発生させるのだろう。それで、環境万博。納得いかない僕には。

世界には、「1日の入場者数を制限している国立公園」というのがあったりする。一日百人ぐらいだけしかはいれず、それも動植物に一切影響を与えないような形で見学する。途中には避難小屋程度の設備しかない。自動販売機さえない、水道さえない。でなければ、本当の自然を目にし、自然について考えることなどできないのだから。——環境について考えるというのは、果たしてどういう形であるべきか。そういうことをこの万博ではあまりに考えていなかったのではないか。

もともと未来技術を中心とした技術礼賛の万博として企画された愛知万博だ。周囲の森をすべて切り開き、終了した後はその周囲に一大団地を作り分譲しようと考え、万博事務局に「んな営利目的の万博なんか許可できるわけねーだろ」といわれて慌てて今の形に軌道修正した、という代物だ。環境万博に方針変更後も辺りの森を根こそぎ切り開いて会場を作ろうとして猛烈な反対を喰った曰く付きのイベントだ。——どうもこの「環境」というテーマが、ハリボテに見えて仕方がないのだ。

万博に行った皆様。どうか、万博のどこがよかったのか、教えて下さい。マンモスやロボットの話はいいです。リニアモーターカーもいりません。「どんな『環境』について考える貴重な体験ができたか」を教えて欲しいのです。あるでしょ、環境万博なんだから。

公開日: 日 - 3月 27, 2005 at 07:15 午後        


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