サンマのワタ


って、どうする? 食べる? 捨てる?

今日の朝刊に、ちょっと面白い投書が載っていた。——それは30代の主婦の方だったのだけど、その方の娘さんの小学校で、給食にサンマが出たのだね。で、それがとっても「にがかった」というのだ。話を聞いてみると、どうやらワタを取り除いていないで焼いてあったので、ワタごと食べて「にが〜い」となったわけ。投書したお母さんは、家でサンマを出すときはいつもワタを取り除いて焼いてた。なので、娘さんは、「サンマにワタがあることを知らない」で育って来たわけだね。

そこで、だ。「考えてみれば、家でワタを取り除いているのはよかったのだろうか?」と考え始める。そのまま成長して、サンマが出てきてもワタを取り除いて食べられないような大人になってしまったらどうしよう、どちらが正しい育て方だろうかということを書いてらしたのだね。ま、それはそれとして。

これを読んで、「なるほど、人それぞれなものなんだなあ」とつくづく思ったのであった。——この人は、「サンマはワタを取り除いて食べるもの」と思っているようなのだ。なぜなら、ワタが残っていると、にがいからだ。そこが面白い。なんとなれば、我が家では、サンマというのは「ワタごと食べるもの」だからだ。まぁ、最近ではちょっとそういうのが怖かったりすることもあるので、あんまり新鮮そうでないやつは除けたりするけど、がしかし、サンマは、あの「ワタの苦さ」がおいしい!のである。そういうものだと僕は思ってこの歳まで生きて来た。が、僕より下の、この投書した主婦の世代では、既にサンマは「ワタを取り除いて食べるもの」になっているのだろうか。

そういえば、だいぶ前になるけれど、とある知人と呑み屋でサンマの塩焼きを頼んだとき、僕が頭からしっぽまで(骨まですべて)食べてしまったのを見て珍しがられたことがある。「話に聞いたことはあったけど、本当にこういう人、いるんだねえ」と感嘆していた。うーん、僕はサンマというのは骨も頭も(もちろんワタも)丸ごと全部食べられる魚だと思ってきたのだけど、世間ではそうではないらしい。それ以来、なんとなく頭と骨は残すようになった。

なんとなく、自分にとって「当たり前」と思っていることも、実は他人にとっては「へ〜へ〜へ〜!」と10へ〜ぐらい軽くついてしまうようなことだったりすることってある。サンマでさえ、これだけ違いがあるのだから、もっとややこしい話になれば尚更だ。天下国家なんて話になれば、自分と同じように思っている人間などいないのが当たり前ってなものだろうね。

とりあえず、投書した主婦の方。「にがいから」などといってないで、一度ワタごと食べてみましょう。あの苦さが、んまいんですよなかなか。

公開日: 土 - 7月 17, 2004 at 07:24 午後        


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