マルチメディア(?)のススメ


さまざまな異なるメディアから同じ情報を受け取るというのは、意外に重要なことかも知れないね。

相変わらず、FirefoxとThunderbirdを使い続けている。Firefoxでは、最近、「Sage」というRSSリーダ・プラグインを入れてみた。これで、WebブラウザでBlogやニュースサイトをそのまま専用ソフトを使っている感覚で読めるようになった。またThunderbirdでは、「ニュースやブログも一定期間経過したら自動的に消える」と思ってたんだけど、どうやらそうじゃないことがわかったので、ニュースは1週間、それ以外のブログは1ヶ月経過したら削除するようフィルターを設定してみた。これで、次々届くニュースも1週間すれば勝手に消えてくれる。よしよし。

ところで、最近、Thunderbirdでニュースを読むようになって、ちょっと面白いことに気がついた。それは、「Thunderbirdやその他のRSSリーダでニュースを購読した場合、ニュースの扱いの大きさがわからない」ということ。日中、Thunderbirdでニュースを読む。夕方、夕刊が届く。すると、同じ記事でも全く印象が違うのだね。夕刊は、記事の重要度ごとに大きさも違ってくるし、「何面に掲載されるか」によって受け取り方も変わってくる。一面に掲載されれば「おお、これはけっこうな大事件だったのか」と思うが、三面記事になっていると「なんだ、たいした事件じゃなかったんじゃん」なんて思ったりする。

ThunderbirdなどRSSリーダでは、すべての記事は全く同じ扱いになる。事件の大小に関わらず、すべて同じように見出しが並ぶ。どれが重要な事件でどれがとるにたらない事件か、実際に読むまでわからないのだ。——いや、実は「読んでもわからない」。こっちが「大事件だ!」と思っていたものが夕刊では小さな囲み扱いだったり、「へえ」と読み流していたものが一面にトップで出ていたりする。

人間の感覚なんて当てにならないもんだ。——と思ったところで、「果たしてそうか?」と思い直した。当てにならないのは、僕の感覚なんだろうか。そうではなくて、新聞の方なんじゃないか? 新聞やテレビのニュースというのは、どんな事件であれ扱いは同じにはならない。一面やトップで報道するものは重要に見えるし、そうでないものはたいした事件ではないように思う。

メディアが伝える情報は、その中身が正確で客観的であったとしても、「どう伝えるか」によって実は情報を操作することができる。どの記事をどこでどう伝えるかによって、「これは大事件だ」「これはたいした事件ではない」というニュアンスを伝える。そして、そうすることにより、情報の受け手をある程度自分の思う方向に誘導することができる。マクルーハンじゃないが、メディアは情報の中身だけでなく、その伝え方によって様々なメッセージを付加していけるんだよね。

Thunderbirdでニュースを読むようになって、こうした「伝え方」という付加情報が削り取られたものを読むようになったわけだ。そしてそれは、僕がそれまで「正しい情報」と思って読んでいたものとはだいぶ受け取るイメージの異なるものであることに気がついたというわけ。

よく、「物事は複眼的に見なければいけない」なんていうけど、そう簡単に複眼的な見方なんてできるようになったりはしない。が、「メディアを変える」ことで同じ情報を異なる見方で受け取ることができるというのはちょっと面白い。見方を変えるだけでなく、「僕らがいかに中身以外のところで不用意に他人のメッセージを受け取っていたか」を確認することができる。——もし、暇があったら一度試してみましょう、「複眼的メディアの利用」ってやつを。

公開日: 火 - 1月 4, 2005 at 07:11 午後        


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