頭のいいオオカミ少年


・・がいたら、僕らは簡単に「オオカミが来た」と信じちゃったりするんだろうか。

細木数子といえば、今では名だたる視聴率Getterなんだそうで。昨日も、タッキーとこの人の新番組が始まったというので、嫁さんがハードディスクに予約していた。で、娘が寝静まってから一緒に見ていたのでした。——うーん、なんか頭の中で考えていたのとはずいぶん違ってちょっと驚いた。あの人、もっと強烈な悪役キャラ(野村サッチーみたいな感じ)だと思ってたんだけど、タッキーに舞い上がってきゃあきゃあするし、ふつーのおばさんキャラになっておりました。

バラエティというのは、つまりは「真剣に考えちゃいけない」ものなんだろう。考えずに流して観るのが当たり前なんだろう。こういうのに、あんまりマジに向き合っちゃいけない。それはわかってるんだけどさ。このおばさんが、僕のキライな「占い師」だからなのかな、どうも素直にこの人の言葉を聞いて楽しめない自分がいることに気がついた。

世の中というのは、どこかで「テレビや新聞や雑誌に出たことは本当のことだ」と無条件に信じてしまうようなところがあったりする。はっきりと「これはギャグだよ」とわかるものならまだしも、「バラエティなんだけど、けっこうお得な情報がつまってるよ」的な番組なんかになると、そこで放送されたことをそのまんま信じてしまう人って多いような気がする。それも、何度も何度も繰り返しさまざまなところで放送され続ければ、次第に「あれだけあちこちで取り上げられてるんだから、ちょっとは真実が含まれているに違いない」なんて思うようになってしまう。

例えば、血液型性格診断の類い。例えば、姓名判断。例えば、星占い。ノストラダムスの大予言を半分ぐらい信じかけた人間はどれぐらいいたろうか。単に「しゃれで遊ぶ」だけ、と思ってたものが、ふと気がつけば「半分ぐらいは本当なんじゃない?」とみんなが思うようになっていた、なんてことはけっこうある。「血液型なんて、まあ別に信じてるわけじゃないよ、遊びみたいなものじゃん」と思っていたら、就職した会社では人事を血液型で決めていた、なんてことになったりする。いや、ほんとにそういう会社があるらしいよ。(「でも血液型って、けっこう当たってたりするじゃん?」なんて本気で聞き返したりしないでくれよ、お願いだから)

ふと気がつけば、誰もが信じるようになっていた。そういうのが僕は怖い。占いなんて罪のない遊び程度ならいいだろう。だけど、そうやって知らないうちに国中がどこかに誘導されてしまったりしたらどうする? いや、別に細木数子がそうしようってんじゃなくてね(笑)、常日頃、心のどっかで「これはジョークだ、これは遊びだ、信ずるべきものではないんだ」といった問いかけを僕らはしてるんだろうか、ということを考えたりしたのでした。——ま、面白かったんだけどね、あのおばさん(笑)。



※ここに書いてあった「オオカミ少年」のお話は、dis-allegoryのカテゴリに独立した項目にして移動しました。

公開日: 水 - 8月 11, 2004 at 07:29 午後        


©