国籍は何のため？
・・にあるのだろう。それを持つ人を守るため？ それを持たない人を排除するため？
今日、日本国籍を巡るいくつかの報道があった。——１つは、フィリピン人の母親と日本人の父親の間に生まれた非嫡出子の子供への日本国籍取得を求める裁判の判決。子供の父親と母親は内縁関係で籍は入っていなかった。日本の国籍法では、このような場合、出産前に日本人の父親が認知しているか、母親と婚姻していない限り子供に日本国籍は認められない。
東京地裁は、この国籍法の規定を「憲法違反である」と断じ、子供の日本国籍を認める判決を下した。「両親の内縁関係が成立しているのに未婚を理由に国籍を認めない国籍法の規定は平等権を定めた憲法に違反する」という判決文の下りは、久々に読んですかっとする思いだった。そうなのだ、たとえ国籍法という法律で決められていたとしても、それよりはるかに重要な「憲法」に反しているのであれば、法律そのものが間違っているのだ。実にすっきりとわかりやすい判断だ。
一方で、こういう判決も今日は出ている。——13年前から佐久市内で生活していたフィリピン人一家６人が東京入国管理局に強制退去処分を受けた。その処分取り消しを求めた訴訟の判決が、全く同じ東京地裁であった。こちらは全員の請求を棄却し、強制退去は正しいと判断している。６人の中には、日本で生まれ日本で育った高校生の長女もいるのだが、その子まで含めて全員「フィリピンに帰れ」というのだ。帰れといったって、この高校生の子は日本国籍がないだけでほとんど日本人だろう？ 日本で生まれ育ち、フィリピンに友達の一人もおらず、当然タガログ（フィリピンの言葉）も全く喋れない人間に、一体どこへ帰れというのだ？ この一家が、例えば外国人ギャング団だったとかいうならわかるが、今まで何の問題もなく普通に生活していたのだ。
こういうのを見ると、そもそも「その国の国民であることを示す『国籍』というのは何なのか」ということを考えざるを得ない。一体、国籍とは何なのか。その国の人間であり、その国の庇護にあり国民のもつ権利と義務を有する者であることを証明するもの、だと思っていた。だが、ただそれだけのものであるならば、こんなにもややこしく「この人はOK、この人はダメ」とふるいにかける意味がわからない。——日本は間もなく人口が減少し若者が急速に減ろうとしているってのに、「日本人としてこの国で暮らしたい」という何の問題もない若者になぜ国籍を与えようとしないのか。
よくこういう問題になると「外国人が増えると犯罪が増加する」だの「治安が悪くなる」だのといったことをいう人が出てくる。僕は別に「犯罪者にまで国籍を与えろ」などといってるわけではない。今まで何の問題もなく地域の中にとけ込み真っ当に暮らしてきている人たちにぐらいあげればいいんじゃないの？といってるだけだ。既に日本のごく普通の市民として暮らしている外国人はたくさんいる。なんだって、そうした人にまでちまちまと条件をあげつらい、「あんたにはあげる、あんたにはやらない」などと仕分けしなければいけないのだろう。国籍っていうのは、そういうものなのか？ おかみがごく一部の人間に特別な計らいであたえてつかわすようなものなのか？
日本では、何か新しいものが生まれると、時間の経過とともにそれを権威的なもの、立派なもの、一般の人間が手に入らないものへと祭り上げていくようなところがある。伝統芸能の類いもそうだし、さまざまな許認可や権利や資格などもそうだ。最初は人々が手軽に利用できるようなものだったはずなのに、ふと気がつけば、いつの間にか「お偉い方々が下賤の者たちへ与えてやっている」的なものに堕していたりする。そうやって、どんなものでも「自分たちだけの特権」へと変えていくのだ。
国籍もそうではないのか。そもそも、その昔には国籍なんてものはなかった。ずずずっと時代をさかのぼって大和時代ともなれば、有力豪族の多くは渡来系（要するに朝鮮半島から渡ってきた人たち）であったりする。——「自分は日本人である」ということを示す国籍というものが作られ、それによって日本国民であることを証明するようになったのは、たかだか明治以降に過ぎない。なぜそんなものができたかといえば、それは「おかみが国民を管理しやすくするため」だろう。国の事務的な都合のために国籍や戸籍を作ったといってもいい。
外国では、国籍とは別に「市民権」というものがあるところが多い。市民権は、国民としての権利と義務を持つための資格であり、国籍は単に「その国への帰属」を示すものに過ぎない。——これだけ外国と人や物の流通が増えてきたというのに、この恐ろしく頑固で使い勝手の悪い「国籍」という代物を未だに使い続けるのはなぜなのだ。諸外国の「市民権」程度のものを用意し、国民としての基本的な権利と義務はすべてこちらに置き換えれば、はるかに風通しも良くなりすっきりするんじゃないだろうか。
なぜ、日本ではこれほどまでに厳しい審査の国籍というやつを使い続けないといけないのか、誰か教えて欲しい。——まさか、「鎖国」するつもりか？？
東京地裁は、この国籍法の規定を「憲法違反である」と断じ、子供の日本国籍を認める判決を下した。「両親の内縁関係が成立しているのに未婚を理由に国籍を認めない国籍法の規定は平等権を定めた憲法に違反する」という判決文の下りは、久々に読んですかっとする思いだった。そうなのだ、たとえ国籍法という法律で決められていたとしても、それよりはるかに重要な「憲法」に反しているのであれば、法律そのものが間違っているのだ。実にすっきりとわかりやすい判断だ。
一方で、こういう判決も今日は出ている。——13年前から佐久市内で生活していたフィリピン人一家６人が東京入国管理局に強制退去処分を受けた。その処分取り消しを求めた訴訟の判決が、全く同じ東京地裁であった。こちらは全員の請求を棄却し、強制退去は正しいと判断している。６人の中には、日本で生まれ日本で育った高校生の長女もいるのだが、その子まで含めて全員「フィリピンに帰れ」というのだ。帰れといったって、この高校生の子は日本国籍がないだけでほとんど日本人だろう？ 日本で生まれ育ち、フィリピンに友達の一人もおらず、当然タガログ（フィリピンの言葉）も全く喋れない人間に、一体どこへ帰れというのだ？ この一家が、例えば外国人ギャング団だったとかいうならわかるが、今まで何の問題もなく普通に生活していたのだ。
こういうのを見ると、そもそも「その国の国民であることを示す『国籍』というのは何なのか」ということを考えざるを得ない。一体、国籍とは何なのか。その国の人間であり、その国の庇護にあり国民のもつ権利と義務を有する者であることを証明するもの、だと思っていた。だが、ただそれだけのものであるならば、こんなにもややこしく「この人はOK、この人はダメ」とふるいにかける意味がわからない。——日本は間もなく人口が減少し若者が急速に減ろうとしているってのに、「日本人としてこの国で暮らしたい」という何の問題もない若者になぜ国籍を与えようとしないのか。
よくこういう問題になると「外国人が増えると犯罪が増加する」だの「治安が悪くなる」だのといったことをいう人が出てくる。僕は別に「犯罪者にまで国籍を与えろ」などといってるわけではない。今まで何の問題もなく地域の中にとけ込み真っ当に暮らしてきている人たちにぐらいあげればいいんじゃないの？といってるだけだ。既に日本のごく普通の市民として暮らしている外国人はたくさんいる。なんだって、そうした人にまでちまちまと条件をあげつらい、「あんたにはあげる、あんたにはやらない」などと仕分けしなければいけないのだろう。国籍っていうのは、そういうものなのか？ おかみがごく一部の人間に特別な計らいであたえてつかわすようなものなのか？
日本では、何か新しいものが生まれると、時間の経過とともにそれを権威的なもの、立派なもの、一般の人間が手に入らないものへと祭り上げていくようなところがある。伝統芸能の類いもそうだし、さまざまな許認可や権利や資格などもそうだ。最初は人々が手軽に利用できるようなものだったはずなのに、ふと気がつけば、いつの間にか「お偉い方々が下賤の者たちへ与えてやっている」的なものに堕していたりする。そうやって、どんなものでも「自分たちだけの特権」へと変えていくのだ。
国籍もそうではないのか。そもそも、その昔には国籍なんてものはなかった。ずずずっと時代をさかのぼって大和時代ともなれば、有力豪族の多くは渡来系（要するに朝鮮半島から渡ってきた人たち）であったりする。——「自分は日本人である」ということを示す国籍というものが作られ、それによって日本国民であることを証明するようになったのは、たかだか明治以降に過ぎない。なぜそんなものができたかといえば、それは「おかみが国民を管理しやすくするため」だろう。国の事務的な都合のために国籍や戸籍を作ったといってもいい。
外国では、国籍とは別に「市民権」というものがあるところが多い。市民権は、国民としての権利と義務を持つための資格であり、国籍は単に「その国への帰属」を示すものに過ぎない。——これだけ外国と人や物の流通が増えてきたというのに、この恐ろしく頑固で使い勝手の悪い「国籍」という代物を未だに使い続けるのはなぜなのだ。諸外国の「市民権」程度のものを用意し、国民としての基本的な権利と義務はすべてこちらに置き換えれば、はるかに風通しも良くなりすっきりするんじゃないだろうか。
なぜ、日本ではこれほどまでに厳しい審査の国籍というやつを使い続けないといけないのか、誰か教えて欲しい。——まさか、「鎖国」するつもりか？？
公開日: 木 - 4月 14, 2005 at 06:50 午後