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「Mac OS X実践活用ブック」追補情報 2


※拙著のMac OS X解説本「Mac OS X実践活用ブック」(技術評論社、424頁、2380円)に関するコーナーです。ここでは、Mac OS X 10.1バージョンアップについての補足を掲載します。


 ★Mac OS X 10.1の変更点について★

Mac OS Xは、現在、Mac OS X 10.1へとバージョンアップされています。この10.1は、X初のメジャーなバージョンアップで、それまでのマイナーチェンジとは異なり、非常に多くの点が変更されています。このため、10.1をお使いの方が本書を読むと、違っている点が多く見つかることでしょう。この点に注意してお読みください。

 10.1で変更された点をざっと整理すると、以下のようになります。

 

・システム環境設定

従来、項目が一覧表示されていたものが、ジャンルごとに整理して表示されるようになりました。また、いくつかのシステム環境設定項目では、設定の表示や内容などが変更されています。大きなものとしては、以下のものがあります。

「Desktop」――新たに追加されました。従来、Finderの「環境設定」メニューにあったデスクトップピクチャーの設定機能を独立させたものと考えて下さい。

「Dock」――Dockの表示位置(左・下・右)を設定できるようになりました。またしまうときのエフェクトをジニーアニメーション以外に変更できるようになりました。

「ユニバーサルアクセス」――新たに追加されました。旧MacOSのEasy Accessに相当するものと考えて下さい。機能キーの操作やマウス操作などを、1つ1つキーを押すことで代用できるようにするものです。

「ログイン」――ログイン時の表示を、テキスト入力方式の他、Mac OS 9などのようなユーザの一覧表示方式に変更できるようになりました。

「一般」――スクロールアローの配置、最近使った項目の項目数、アンチエイリアス表示するフォントサイズをそれぞれ設定できるようになりました。

「キーボード」――フルキーボードアクセスという、Cntlキー+Fキーでメニューやダイアログのコントロール類を全て操作できる機能が新たに用意されました。

「サウンド」――メニューバーに、音量変更のメニューを追加できるようになりました。

「ディスプレイ」――メニューバーに、色数・解像度変更のメニューを追加できるようになりました。

「省電力」――オプション・タブが追加され、外部からのスリープ解除や停電時の自動再起動などが設定できるようになりました。

「共有」――リモートログインのチェックがなくなり、アプリケーションというタブが新たに追加されました。ここでリモートログインおよびリモートAppleEventの設定が行えます。

「ユーザ」――利用者の編集画面で、ログインピクチャを設定できるようになりました。これはログインウィンドウでユーザの一覧リストを表示した際に用いられます。

「日付けと時刻」――メニューバークロックが強化され、アイコンによるアナログ表示などが可能となりました。

「起動ディスク」――再起動ボタンが用意され、その場でリスタート可能になりました。

 

・Finderの変更

機能のいくつかが変更されています。

・Finderの環境設定メニューの変更。このメニューは、従来とは内容が全く異なっています。従来はデスクトップの表示に関する項目でしたが、10.1では、デスクトップに表示する項目、新規Finderウィンドウで開く場所、ゴミ箱や拡張子表示に関する設定などを行なうようになっています。

・デスクトップの表示設定の変更。従来、デスクトップのアイコン表示などはFinderの「環境設定」メニューで行なっていましたが、このメニューではなくなりました。代りに「表示オプションを表示」で行なうようになりました。これを選び、デスクトップを選択すると、パレットにデスクトップの設定のための項目が表示されるようになります。

・Finderウィンドウの強化。10.1では、コラム表示の横幅が変更できるようになりました。

・CD作成機能の標準化。Finderのメニューに「CD作成」が追加され、簡単にCD-RやCD-RWへのデータ書き込みが行えるようになりました。

・インスペクタの強化。「情報を見る」メニューで表示されるインスペクタのウィンドウに「名前と拡張子」という項目が追加され、拡張子を非表示にできるようになりました。またファイルの「このアプリケーションで開く」の設定が強化され、特定のファイルの特定の拡張子のファイルを全て指定のアプリケーションで開くようにできるようになりました。

 

・その他の変更

・環境設定プログラムの変更。従来、環境設定で表示されるプログラムは/System/Library/Preferences/内にpreference拡張子のものとして用意されていましたが、10.1では/System/Library/PreferencePanes/内にprefPane拡張しのものとして用意されるようになりました。

・システム関連ファイルの変更。スライドショウのスクリーンセーバはscreenSaver拡張子ではなくslideSaver拡張子のパッケージに変わっています。スライドショウの本体プログラムをフレームワーク化することにより、ごく簡単にスライドショウのスクリーンセーバを作れるようになりました。

・動作の高速化。目に見える機能変更ではありませんが、10.1ではあらゆる動作が高速化されています。アプリケーションの起動、メニューの表示、アプリケーションそのものの動作速度、プログラムの切り替え、スリープからの復帰、クラシック環境の動作等々。これだけでも、10.1にバージョンアップする値うちはあります。

・付属アプリケーションの追加。DVD PlayerやiMovie、iTunesなどの10.1版が標準で付属するようになりました。またJava Web Start、AirPort Admin Utilityなども「Utilities」フォルダに追加されています。

・AppleScriptの大幅強化。10.1では、特にFinder関係のスクリプト対応が大幅に強化されています。本書ではAppleScriptの簡単な説明をしていますが、かなり「これは使えない」ということを書いてありました。多くの部分が、10.1では利用可能になっています。また/Library/にScriptフォルダが用意され、多数のサンプルスクリプトが用意されています。これらは、アップルのサイトにあるScript.menuというプログラムを使うことで、メニューから選んで使えるようになります。

・DeveloperToolsのバージョンアップ。本書では、最後にパッケージ版に付属するDevToolsについて触れています。これも、10.1ではバージョンアップしています。特にProject Builderは表示が日本語化され使いやすくなりました。ただし、バージョンアップ版には、新しいDevToolsのCD-ROMは付属しません。つくのはパッケージ版のみです。また、10.1では、従来のDevToolsのプログラムは動作保証されません。

 

以上、主な変更点についてまとめました。――10.1では非常に細かな改良と変更がなされており、本書の内容をそのままでは適用できない部分が多く見られます。変更があまりに多いため、増刷時の修正程度では対応できません。対応するにはかなりの加筆が必要となり、改訂版でも出さないとそれは難しいでしょう。以上のようなわけで、本書の10.1への対応は当分行う予定はありません。ご了承ください。


 ★おまけ情報★

※ここでは、10.1についての追補情報を整理していく予定です。まあ、本書をお読みの方のための「おまけ」と御考えください。

 

★スライドショウ・スクリーンセーバの自作★

追補情報にて「スクリーンセーバのプログラムをコピーしてオリジナルを作るのは推奨できない」としましたが、10.1では、スライドショウのスクリーンセーバの構造が変わり、簡単に自作できるようになりました。ここで、その作り方を掲載しておきます。

1.~/Library/screenSavers/内に、新規フォルダを作成します。そしてフォルダ名を「○○.slideSaver」とします。○○は、スクリーンセーバの名前です。

2.TextEditを起動し、標準テキストで以下のリストを記述します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE plist SYSTEM "file://localhost/System/Library/DTDs/PropertyList.dtd">
<plist version="0.9">
<dict>
<key>CFBundleDevelopmentRegion</key>
<string>English</string>
<key>CFBundleGetInfoString</key>
<string>○○ screen saver module</string>
<key>CFBundleIdentifier</key>
<string>××.screensaver.○○</string>
<key>CFBundleInfoDictionaryVersion</key>
<string>6.0</string>
<key>CFBundleName</key>
<string>○○</string>
<key>CFBundlePackageType</key>
<string>BNDL</string>
<key>CFBundleShortVersionString</key>
<string>1.1</string>
<key>CFBundleSignature</key>
<string>????</string>
<key>CFBundleVersion</key>
<string>1.1</string>
</dict>
</plist>

これのうち、2ケ所はそれぞれで埋めて下さい。まず、○○は、作成するスクリーンセーバ名になります。また、××はあなたの名前を指定して下さい。――このCFBundleIdentifierというキーは、プログラムを識別するためのユニークな名前を指定しないといけないのですが、とりあえず個人で使う分には「名前.ジャンル.プログラム名」という形で記述しておくと間違いがなくてよいでしょう(ただし再配布するプログラムでは、ネットのドメインやメールアドレスを使用するのがベストでしょう。Macユーザの皆さんなら、mac.comのアドレスを使うのが有効です。例えば、tuyano@mac.comならば、順番をひっくり返してcom.mac.tuyano.screensaver.○○とするわけです)。
 記述をしたら、先ほど作った「○○.slideSaver」フォルダ内に「Info.plist」というファイル名で保存します。

3.同様にTextEditで標準テキストで以下のリストを作成して下さい。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE plist SYSTEM "file://localhost/System/Library/DTDs/PropertyList.dtd">
<plist version="0.9">
<dict>
<key>BuildVersion</key>
<string>26</string>
<key>CFBundleShortVersionString</key>
<string>1.1</string>
<key>CFBundleVersion</key>
<string>1.1</string>
<key>ProjectName</key>
<string>SlideShows</string>
<key>ReleaseStatus</key>
<string>GM</string>
<key>SourceVersion</key>
<string>8</string>
</dict>
</plist>

これは、このまま書き写せばOKです。そして「○○.slideSaver」フォルダ内に「version.plist」というファイル名で保存します。

4.またTextEditで新たにウィンドウを開き、「BNDL????」と8文字だけ記述して、標準テキストで「PkgInfo」というフィル名で「○○.slideSaver」フォルダ内に保存します。これで、計3つのファイルがフォルダ内に作成されたことになりますね。

5.「○○.slideSaver」フォルダ内に「Resources」というフォルダを作成します。――そして、表示したいイメージファイルを、このフォルダ内にコピーして入れれば、スライドショウスクリーンセーバの完成です。システム環境設定の「スクリーンセーバ」で選択できることを確認してください。

 

★DevToolsのMRJAppBuilderの起動問題について★

DevToolsには、JavaのJARファイルをアプリケーション化する「MRJAppBuilder」というプログラムが入っています。これは、新しい10.1に付属のものでもバージョンアップはされていません。が、当方の環境では、なぜか起動するとウィンドウが開く直前に強制終了してしまいます。もし、同様の症状があった方は、以下の方法を試してみて下さい。

1.「MRJAppBuilder」をコピーします。

2.「パッケージの内容を表示」メニューでパッケージの中身を表示します。

3.Contents/Resources/内にある「GenericJavaApp.icns」ファイルを削除して下さい。

これで、当方では起動できるようになりました。MRJAppBuilderの本体プログラムをターミナルから直接起動すると問題なく動作したので、これはパッケージ化された部分での処理の問題と思えます。

 

★Script Menuについて★

10.1では、メニューバーに項目を追加する新たな拡張プログラムが用意されました。これは「menu」という拡張子のパッケージとして作成されます。この機能を利用したものとして、「Script Menu」というものが米アップルのサイトにアップされています(AppleScriptのコーナーにあります)。使い方は簡単で、ダウンロードしたら、「ScriptMenu.menu」というプログラムをメニューバーにドラッグ&ドロップします。これだけでプログラムが組み込まれ、スクリプトメニューが表示されます。

 このスクリプトメニューは、/Library/Scripts/と~/Library/Scripts/にあるスクリプトファイルを一覧表示し、メニューから選ぶだけで実行できるようにするものです。AppleScriptを使っている人には必須ですね。――また、AppleScript以外にも、シェルのスクリプトファイルなども起動できます。大変便利なので、ぜひダウンロードしましょう!

 

★英語プログラムのコンポーネント文字化け問題★

10.1で英語のCocoaアプリケーションなどを使うと、アプリケーションによっては、ファイルのダイアログなどでボタンの表示が文字化けして読めなくなることがあるようです。これは、プログラムのリージョン(言語指定)による問題のようです。もし、同様の症状に遭遇したら、以下の方法を試してみて下さい。

1.「パッケージの内容を表示」メニューでパッケージの中身を表示します。

2.Contentsフォルダ内にあるInfo.plistファイルをTextEditなどで開きます。

3.CFBundleDevelopmentRegionという<key>タグの次にある<string>タグの値をEnglishからJapaneseに変更して保存します。

これで、この種の文字化け問題は解決するはずです。ただし、これはあくまでCocoaのアプリケーションパッケージの修正であり、Carbonアプリで同様の方法が通用するとは限りません。

 

★シェルスクリプトをダブルクリックで起動する★

これは10.1以前でも使えたのですが、10.1からはスクリプトメニューのおかげでスクリプトを使う環境が整ってきましたので補足を。――Mac OS Xでは、シェルを使ったスクリプトが利用できます。ターミナルを起動してコマンドを打ち込むのではなく、実行する命令などをテキストファイルで保存し、これを呼び出すことで複雑な処理を自動的に実行できるのです。

 従来のUNIXなどでは、この場合もターミナルから実行しないといけないのが普通でしたが、Mac OS Xでは、シェルスクリプトのファイルをダブルクリックするだけで実行するようにできます。ただし、ちょっとややこしいのと、ターミナルを使うので、読んで理解できる人だけ試して下さい。

1.まず、シェルスクリプトのファイルを作成します。これは、もしスクリプトメニューで利用したいなら「sh」という拡張子のファイルで保存して下さい。

2.作成したファイルを、~/Library/Scripts/フォルダに入れます。

3.ターミナルを起動します。そして「cd ~/Library/Scripts/」でカレントディレクトリを移動し、「chmod +x スクリプトファイル」を実行して下さい。これによりそのスクリプトファイルが起動可能ファイルに設定されます。

4.Finderに戻り、スクリプトファイルを選択して「情報を見る」メニューでインスペクタのウィンドウを開きます。そして「このアプリケーションで開く」項目に切り替え、アプリケーション選択のボタンのメニューから「その他」を選んで、「Terminal」を選択して下さい。これは選択ダイアログで「推奨アプリケーション」から「全アプリケーション」に切り替えると選択できるようになります。

以上で作業は終了です。ダブルクリックするとターミナルが自動起動し、スクリプトが実行されるはずです。またスクリプトメニューからも、メニュー項目を選ぶだけで実行できます。

 



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