カヌーとひとくちにいってもいろいろあって、いわゆる競技カヌーの類い、上流域のホワイトウォーター(白波がガンガンたってる急流ね)をがっちりしたポリ艇で攻めるスポーツ的なカヌー、そしてツーリングがある。僕はツーリング派だ。
ツーリングというのは、「川のトレッキング」だ。折り畳み式のカヌーをかつぎ、キャンプ用品一式を積み込んで上流からずっとくだっていく。日が傾けばテントを張り、夜が明ければまた下る。数日かけてのんびりと進むのがツーリングカヌー。
他のカヌーは、だいたい一箇所で集中して遊ぶのだけど、ツーリングは違う。ぽんと岸を蹴って漕ぎ出せば、もう二度とそこへは戻らないのだ。そこがいい。「旅」って感じがする。
北上川も2度ほど出かけた。しかも一回は2月だよ。ったく、何考えてんだろうねえ。朝起きたら船もテントもみんな凍ってて、いや寒かったこと。しかもうっすらと雪なんぞ降ってやがんの。
千曲川にも行ったなあ。おせじにもきれいとはいえない川で、とてもがっかりしたのを覚えている。ここも冬に出かけて、日が暮れてあまりにも寒くて眠れなかったな。翌朝目が覚めると、一面の霧。一緒に出かけた奴のテントさえ見えないくらいの濃霧だった。
あとは、ツーリングではないけど、気田川や豊川などにもいった。気田川は最初にでかけたときはすばらしくきれいだったなあ。豊川も水はきれいだったけど、既に臭いがするような状態で、沈するのだけは勘弁して欲しいと思ったわ。
写真は奥利根湖へみんなで出かけたときのもの。奥利根湖は「八木沢ダム」といったほうがなじみがあるかもね。谷川岳の雪解け水がどっと来ていて、信じられないくらいに水のきれいなところでした。
奥利根湖は細長い湖で、奥のほうが二股に分かれている。入り口からカヌーで30分ぐらいこいでようやく奥まで辿り着くという感じ。でも、今は奥にまたダム建設が始まってしまい、様子もすっかり変わったらしい。もうこの景色も残っていないかも知れない。
なぜ川に行かなくなったのか。それはたぶん、行く度に川が変わっていくからだと思う。行くと前より必ず汚くなっている。必ず何かが破壊されている。決してよくはならない。それに耐え切れなくなったのかもしれないな。どこかに「昔よりきれいになった」って川があれば、また川へ戻るかも知れない。本当にあれば、ね。