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C# (with C#Builder) 教室 その1


「C#とC#Builderの基礎知識」


■C#とC#Builderのこと

 Windowsの世界では、今や開発といえば「.NET」です。実際にプログラミングなんてやってない人でも、なんとなく「時代は.NETだ!」なんて思ってるんじゃないでしょうか。その.NETのためにマイクロソフトが新たに開発したプログラミング言語、それが「C#(シーシャープ)」です。C#は、まさに.NETのために作られたといっても過言ではなく、.NET開発にはC#が最適・・だったはずなんですが。

 実際に.NETが少しずつ使われるようになってきても、なぜかC#の人気は今ひとつ。どうも盛り上がりに欠ける感があるのは否めません。それもそのはずで、.NETは、実はC#以外でも使えるのです。マイクロソフトが新たにリリースしたVisual Studio .NETではC++やVisual Basicで.NET開発を行うことができるようになっています。このため、既にC++やVBを使っていた人は、わざわざC#なんていう新しい言語を覚えるより、自分になじんだ言語をそのまま使い続ける道を選んだのでしょう。

 では、新たに.NETプログラミングを始める人ならどうか。例えば、Javaから.NETに移ってくる人は? 実際、比べてみればわかることですが、実はC#はJavaにかなり似た言語なのです。ですから、Javaから移ってくるならば、C#はかなりよい選択肢となります。おそらくマイクロソフトも「JavaからC#へ」というのを期待していたんでしょう。が、今のところJavaから.NETヘドドドドドッとなだれをうって移ってくる、という現象は全く期待できません。 なにより、わざわざVisual Studio .NETなんて立派な開発環境を買わないと使えないんじゃねぇ。私なら「じゃあ、Delphiにしとけ」とか思いますよ。もし、大枚叩いてVisual Studio .NETを買ったとしても、そこにはC#の他にC++とVBも入ってるわけですから、まぁ普通はそっちを選ぶでしょう。C#よか資料も豊富だしね。

 そんなわけで、どうもC#というのは、鳴り物入りで登場した割にはパッとしない状態が続いたわけです。C#になによりも必要なのは、C#に興味を持った人間がちょこっと気軽に試せる環境じゃないでしょうか。

 そう思っていた矢先、DelphiやJBuilderで有名なボーランドから「C#のための開発環境」が出る、というニュースが駆け巡りました。ボーランドといえば、開発の世界においては(マイクロソフトなんかよかはるかに)信頼のおけるメーカーです。しかも、普及のために廉価版や無償配布版を作ってくれることで有名なところです。ここからひょっとしたら・・と期待した人も多かったはずです。

 そうしてリリースされたのが「C#Builder for the Microsoft .NET Framework(・・長い)」というものです。いかにもボーランドらしいビジュアルな開発環境で、しかも! 学習用に用意されたPersonal版は、予想通りオンラインで無償配付されることになりました。これですよこれ! これを待ってたんですよ。誰もが気軽に試せるC#環境を。

 そんなわけで、C#って名前は聞いたことあるけど実際はどうかなぁ・・なんて思っていた人。あなたも実際にC#を使いながらそれがどういうものか試せるようになったのです。せっかく「タダで配るよ」といってるんですから、ありがたく使わせていただきましょう。

ダウンロードのページ

 ただし、このC#Builder Personal版を使うには、けっこう山あり谷ありです。注意点がたくさんあるので、以下にまとめておきます。

  1. まず、ダウンロードページにある細かい説明をきっちり読んでおきましょう。適当に流して読むとインストールができない!なんて悩むことになります。
  2. C#Builderを使うには、C#Builder本体以外に、.NET Frameworkが必要となります。これはFramework本体、日本語キット、SDKの3つのパッケージからなります。すべてボーランドのC#Builderダウンロードページからダウンロードできます。この他、Internet Explorerは6.0にしてある必要があります。
  3. インストールの際には、.NET関係のインストーラファイルを全て展開しておく必要があります。一応、C#Builderのインストーラを起動すればこれらは自動で呼び出してくれるはずですが、もしうまくいかなかったら展開した場所からインストーラを探して全て個別にインストールしてみて下さい。
  4. 全部準備ができてからC#Builderをインストールします。途中でインストールが進まず終了してしまう時は、必要な.NET関係のパッケージがインストールされていないことを示します。再度チェックしましょう。
  5. 無事にインストールできたら、「使用許諾コード」というのを取得する必要があります。これは、ボーランドのダウンロードサイトから取得します。ただし、これはボーランドの開発者向けサービスに登録していないと取得できません。このあたりについても、ボーランドのサイトの説明をよーく読んでおきましょう。
  6. メールで使用許諾コードが取得できたら、ホームディレクトリにファイルを保存しておきます。こうすると、C#Builder起動時にそれを読み込んで使えるようになります。くれぐれも「マイドキュメント」に保存しないように。(よく間違える人がいます)

 正直いってかなり面倒ですが、ここさえ乗り切って無事にインストールできれば、タダで最新の開発環境が使えるんですから、頑張りましょう。——なお、ダウンロード・インストール・使用許諾コード取得に関する質問には当方ではお答えしません(あまりに質問が多くて対応できないため)。うまくいかない場合は、とにかくボーランドのサイトの説明を何度も何度もしっかりと読んで下さい。そうすれば、必ずできます。多分。


■C#Builderの基本

 無事にC#Builderがインストールでき、起動したら、以下の図にあるような画面になります。これがC#Builderの起動画面です。画面中央に何やらいろいろと表示がされますが、これは「ホームページ」というもので、最近作ったプロジェクトを開いたり、ドキュメントやWebサイトの情報などをラウンチして開くためのものです。



 さて、この状態ではなんともツールの説明のしようがないので、とりあえず簡単なプロジェクトを作ってみましょう。<ファイル><新規作成><C#アプリケーション>メニューを選んで下さい。プロジェクト名を入力するダイアログが現れるので、ここで適当にアプリ名を記入してOKします。すると、.NETベースのWindowsアプリケーションを作るプロジェクトが新たに作成されます。



 これが、C#Builderによる開発の基本画面です。左側にあるのがオブジェクトインスペクタ、中央がデザイナ、右側にプロジェクトマネージャとツールパレットが並びます。この4つが開発の基本となるパーツといえます。これらについて、ざっと整理しておきましょう。

「オブジェクトインスペクタ」
左端にある、なにかの項目がズラッと一覧表示されているものです。これは、選択した部品の「プロパティ」と「イベント」を設定するためのものです。上部に両者を切り替えるタブがあって、これをクリックするとそれぞれの項目一覧が現れます。
 プロパティというのは、その部品に設定される各種の値のことです。例えば位置や大きさ、使用するフォント、背景やテキストの色、といったものですね。更には部品の動作に関する設定情報などもあったりします。イベントは、ユーザの操作やプログラムの状況に応じて自動的に発生するもので、これに実行する処理を設定することで「ボタンをクリックしたら何かをする」といった動作を組み込みます。

「デザイナ」
ウインドウ中央にある、のっぺりしたウインドウのビジュアルが表示されている部分です。これはウインドウを設計するためのもので、ここにツールパレットから部品をもってきてウインドウやメニューをデザインします。ウインドウのことを.NETではフォームと呼ぶことから、「フォームデザイナ」と呼びます。
 デザイナは、ワンクリックでソースコード編集画面に切り替えできます。下の方に「コード」「デザイン」というタブがありますが、「デザイン」が選ばれているとフォームデザイナになり、「コード」を選ぶとソースコードエディタに表示が切り替わります。両者は連携していて、片方で何か修正をするともう片方にすぐに反映されるようになっています。

「プロジェクトマネージャ」
プロジェクトっていうのは、開発の単位となるもので、そのプログラムが必要とする各種のファイルなどをまとめて管理するものです。このプロジェクトマネージャは、現在開いているプロジェクトに組み込まれているファイル類を階層表示し、管理するものです。

「ツールパレット」
右下に見える、アイコンがズラッと並んだものです。これは、.NETに用意されている各種の部品なのです。ここにある部品を選択し、フォームデザイナに配置することでGUIを設計していきます。

 ということで、C#Builderの開発の基本的な流れは、こんな感じになります。

  1. ツールパレットからフォームデザイナに必要な部品を配置する。
  2. オブジェクトインスペクタでプロパティを設定する。
  3. 必要に応じて、イベントを設定する。
  4. コードエディタで必要なコードを記述する。

 部品数が多くなっても、基本的にはこれの繰り返しです。とりあえず、これらの役割だけ頭に入れておけば、ちょっとしたプログラム作成ぐらいはすぐにできるようになりますよ。



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