ランチア・テーマ日記
LANCIA THEMA 8・32
2010年9月14日
ブレーキ引きずり その3
すべてのキャリパーをOHしても引きずりが治らないので,マスターシリンダーをチェックすることに。
ブレーキのことをいろいろお勉強してみると。
真空倍力装置(マスターバッグ)の中心部にあり、ブレーキマスターを押すシャフトのアライメント(出っぱり具合)が
おかしいと引きずるようで、このシャフトが前に出すぎているのではないかと。
このシャフトが前に出すぎていると常に軽くブレーキを踏んだのと同じ状態で、バキュームでどんどんブレーキがかかっていくという現象になるそうです。
8・32のマスターシリンダーをいじるのを躊躇していたのは、なぜか8・32だけOHキットはおろか、マスターシリンダー本体もパーツリストに載っていないのです。
8・32には減衰力を自動で調整するオートサスペンションが装備されていますが、この装置のためのブレーキ圧センサーがマスターシリンダーに取り付けられており、
マスターシリンダーそのものが8・32専用の特別なものという噂がありました。
たかだかマスターシリンダーで専用品を作るとも思われず
ダメ元で通常のテーマに使われているマスターシリンダーOHキットを以前eBayで購入してありました。
マスターシリンダーを取り外すのは結構大変です。見えるのですが手が入らない。
とにかくバッテリートレイを取り外すことに。
バッテリーのトレイを取り出すのはABSユニットがあるのでとても面倒です。ブレーキの配管をおったりしないよう気をつけて作業します。
ようやく工具が入るほどに
リザーバにあるブレーキオイルを抜き取ります。小型真空ポンプを使って簡易ポンプを作ってみました。
最初ペットボトルで作って大失敗。ポンプの力でオイルを吸い上げずボトルがぼこぼこに凹むだけでした。
ガラス瓶で大丈夫でした。
ちゃちな真空ポンプですが役に立ちます。
オイルを抜き取ってマスターシリンダーを取り外してみます。二個のナットで留まっているだけです。
このセンターのシャフトが問題です。
この幅に入る適当な定規がないのでDVビデオの箱をあてがってみると
シャープペンの芯ほど出っ張っていました。
マニュアルによると0.3ミリ程度引っ込んでいなくてはなりません。
この頭の部分ネジになっていて調整できるのですが工具がつかめないし固くて回せませんでした。
ブレーキを踏むとシャフトが飛び出てくるので、この状態で軸をバイスプライヤーでつかみ、ようやくネジを回すことができました。
マニュアル通り、取り付け面よりネジを0.3ミリ程度引っ込ませました。
取り出したマスターシリンダーには圧力センサーが付いていました。もう一カ所穴がありますがこちらはめくら蓋してありました。
中間に見えるボルトは前側ピストンのストッパーです。これを外さないとピストン出てきません。
分解して内部のゴム部品を見てみると購入した普通のテーマ用のOHキットに入っているものと全く同じでした。
きれいに清掃して元の形に組み立てます。分解するとき、右端に付いている白いナイロン状のワッシャを取り外すのにとても苦労しました。
このワッシャはOHキットに入っていません。
綺麗になったマスターシリンダー。
組み上がったらオイルいれてエア抜きですが
国産車のマスターシリンダーのようにマスターシリンダー側にエア抜き用のニップルが付いていません。
実はばらす作業の前に、ジャッキアップしてフロントタイヤを外し、フロントのブレーキパッドを取り外して
ブレーキを踏み、ピストンを飛び出させておきました。
取り付けが終わったあと、このフロントキャリパーのピストンを押し戻します。
すると配管内に入ったエアがオイルとともにリザーバに戻ってきます。
左右やってオイルがリザーバに戻ったところでオイルを上から足して
今一度フロントキャリパーのエア抜きを行います。
こうすると実に簡単にマスターシリンダーのエア抜きが行えます。
このあとずっと様子を見ていますが、いまのところブレーキの引きずりはおきていません。
若干ブレーキペダルの踏む位置が奥深くなりました。
実はこの作業中別なトラブルが。