ランチア・テーマ日記
LANCIA THEMA 8・32
2009年9月28日
大トラブルからの脱出14
今日の目標:ドリブンギアベアリング加工発注
このフェラーリ308QVのエンジンは下の写真のようにタイミングベルトが2本あります。
Vバンクの両側カムシャフトを一本のベルトで張るのではなく、各バンク独立したベルトでカムシャフトを駆動します。
そのため通常の直列エンジンはクランク軸にタイミングベルトプーリがついているのですが
このエンジンはクランク軸にドリブンギアという等速ギアが2個ついており、
そのギアのシャフトに各バンクへのタイミングベルトプーリが取り付けられております。
そのギアの前後と左右バンク併せて合計4個のベアリングが入っております。
そしてギアの後側のベアリングはいつもエンジンオイルにつかっているので、寿命は非常に長いのですが
前側のベアリングはシールされていますがエンジンオイルにつかっている訳じゃなく寿命は短いです。
タイミングベルトの切れる要因として、ベルトの劣化、ベルトテンショナーのベアリング劣化が主な原因ですが
このエンジンの場合タイミングベルトプーリードリブンギアベアリングの劣化もベルト切れの1つの原因となります。
タイミングベルト2回に1回はこのベアリングも交換するというのがこのエンジンの常識となっています。
しかしここに問題点が1つあります。
オリジナルの308QVエンジンとの大きな違いはこのエンジンを横置きにFF車に搭載すると言うことで
エンジン全長を短くする必要があり、タイミングベルトおよびスプロケット等、ことごとくオリジナルの308QVエンジンより幅の狭いものに変えられております。
もちろんドリブンギアが入っているフロントカバーも8・32専用設計で308QVとは異なります。
そして問題の前側ベアリングが308QVでは6203という800円ぐらいで買える汎用ベアリングなのですが
8・32は630892Bという非常に特殊なベアリングが使われております。
僕の個体は前々オーナーの40000キロ走行ぐらいの時に一度バルブクラッシュを経験しており、そのときの修理明細を見ると
このベアリング価格が1個49000円となっています。輸入されていた当時のオートザムのパーツリストでは9800円となっています。
現在は部品そのものが手に入りにくくなっているのですが、
在庫があったとして相場では1個のベアリングが5万円!2個で10万円!!こんなに高い部品は僕には買えません。
この630892Bというベアリング、規格としては
外形40ミリ 内径15ミリ 厚み13ミリ
のどうってことない普通の単列深溝玉ベアリング非接触シール型なのですが、
外径が規格品にはありません。
近い規格品としては
6302というベアリング最も近く
外径42ミリ 内径15ミリ 厚み13ミリ
となります。
過去のオーナーや修理工場のアイデアで
フロントカバーのベアリングが入る部分を1ミリ削り広げて6302を入れるという手法もありますが
(足立先生のwebに詳しく出ています)
フロントカバーを加工する工作精度等の問題でなかなか良い結果を出すのが難しいようです。
そこで大阪のベアリング加工業者に相談したところ
6302を加工して外径40ミリのベアリングを作ってくれるそうです。
ベアリングの外側カラーが1ミリ薄くなるのですが、さほど問題ないだろうとのことです。
10個以上になると少し安くなるのですが10個以下では一個5000円で1個からでも注文できます。
前後バンク2個必要なので2個発注しました。
2個十万円のベアリングが2個一万円で何とかなりそうです。