ランチア・テーマ日記
LANCIA THEMA 8・32
2008年8月10日
エンジン再始動不能 解決編
5月からずっと続いていた温間時のエンジン再始動不能、
リレーの交換で直ったかに見えましたがまた症状が出て
ある時は走行中にエンジン停止。
原因が全く分かりませんでした。
温間時始動不能のいくつかの可能性は
1,燃料ポンプリレーの不良
こちらは前回新品に交換
2,イグナイタの不良。
冷えていればスパークするが熱くなっていると動作不良を起こす。
3,燃料プレッシャアキュムレータの不良。
同じKE-Jetoronicを採用しているメルセデスでよく起き、
エンジン停止後のガソリン配管内の圧力を高い状態に保ち燃料ベーパロックを防ぐ装置、
これが死ぬとかなり長時間セルを回さないとエンジンが始動できなくなる。
4,燃料配管内の洩れ
KE-Jetoronicの燃料ディストリビュータ、コールドスタートインジェクタ、インジェクタ、等の配管からの洩れにより燃圧が下がる
5,燃料プレッシャレギュレータの不良。
3,4,5,とどれもKE-Jetoronicの高い燃圧を維持できないために始動不良が起きる。
6,燃料ポンプの作動不良、接触不良
7,エンジン回転センサ(rpmセンサ)の不良
これが不良であれば全くエンジンがかからない。
大きくは以上のような問題で始動不良が起きます。
うちの8・32の場合はエンジン始動不良になっても30〜60分待ってエンジンが冷えれば始動できるという問題でした。
あるときイグナイタに水をかけたら一発でかかったことがあったのでまずは電機系を疑い、イグナイタを新しいものに交換しました。
古いものは劣化してケースが剥がれて内部の基盤を破壊してしまいました。
右上の写真は新しい部品です。白いシリコングリス(放熱板との間に塗る)も入っています。
イグナイタの取り付け部に少しでも放熱できるようにとアルミ板を挟んでみました。
しかし、イグナイタ交換後も温間始動不可の症状は出ました。
つぎは、燃料系です、KE-Jetoronicは通常の燃料噴射よりもずっと高い燃圧を要求します。
そして、夏の高温時、配管内に圧力が維持できないと管内のガソリンがガス化して
ベーパロックを起こしポンプが作動しても燃料が気筒内に噴射されないという現象が起きます。
この圧力を維持する燃料プレッシャアキュムレータという装置が燃料フィルタのところに取り付けられております。
同じシステムを採用しているメルセデスでこのトラブルが多いらしく、沢山のサイトで取り上げられております。
まずは燃圧を作るポンプを点検。
リアシートを外し、トランクのカーペットをめくるとふたがあり、それを外すと燃ポンが見えます。
燃料パイプが割れやすいので注意して燃ポンを外してみます。
燃料ポンプはコンディションも良く、動作に問題ありませんでした。
次に燃料プレッシャアキュムレータです。
メルセデスの安部品のお店から購入しました。
メルセデスのパーツナンバー00-476-09-21ZZ(BOSCH 0-438-170-055)
W124・W126・W463・R129・R107用が832と同じ部品です。
トランクのスペアタイヤの真ん中の部分が丸いボールでもっこりしていますが燃料フィルタとアキュムレータはこの中に入っています。
アクセスは車体下からです。
交換は簡単、配管に傷つけないように取り替えるだけです。
外したアキュムレータのバネ側のパイプ(圧がかからない側)よりガソリンがぽたぽた。
ダイアフラムで圧を維持しているのですが、ダイアフラムが破れたらガソリンが漏れるのでそれを燃料タンクに戻すための細いホースが繋がります。
ですから通常はここからガソリンがぽたぽた漏れることはないはずなのですが
やっぱりダイアフラムが破けているのでしょうか?
新しいものを取り付け完了。
しかし、温間時再始動不可の症状はやはり現れます。んんん、いいたいどこが?
頭の中は燃圧燃圧燃圧、、、、、
アメリカのサイトで、燃料プレッシャレギュレータも注文しました
メルセデスの000 078 1189という部品が共通です。
560SL,560SEL,560SEC,500SL,420SEL,300CE-24,300SL-24で同じ部品が使われております。
日本のボッシュから買うと5万円以上します。
この部品を交換する前
偶然飲み屋で会った知り合いの修理工場の旦那に症状を話したら
センサをチェックしろといわれ、候補の最後にあげていたセンサをチェックすることに。
そういえば燃料ベーパロックであれば走行中のエンストは考えにくい。
3度ほど走行中にいきなりエンストと言うこともあったので
センサは非常に怪しいです。
8・32の場合フライホイールのところにTDCセンサとRPMセンサが二つ取り付けられており
このセンサ、二つとも全く同じ部品です。
両方を取り外し検査してみました。
白いケーブルは長年の熱に耐えきれずかちかちに固まっています。
通常、両端子間の抵抗値を測り、600〜800オームであれば正常とマニュアルに書いてありました。
左上の黒いソケットのほうは737オームで正常。
右上の白いソケットの法は529メガオームで異常です。
このセンサが原因でしょうか?フライホイールのところのギザギザや出っ張りがセンサの直前を通過することで
電磁誘導でパルスが生じます。このパルスが得られないとコンピュータはポンプも点火も作動させません。
冷えていれば大丈夫なのが熱が高まってくるとパルスが出ずにエンジンがかからなくなる。
これが原因なら温間時始動不良と走行中の突然のエンストも納得がいきます。
以前乗っていたターボのTDCセンサがよく似ているので引っ張り出してみると
形状はそっくり、フランジの穴も同じで直径も同じです。計測してみると700オームの抵抗とパルスもちゃんと発振します。
異なっているのはフランジから先端までの長さが違います。
この部品を加工して使うとことに決定。
ちなみにガレージ伊太利屋に聞いてみたら日本に在庫無し、あったとして価格は23000円!だそうです。
センサの根元を削ってフランジを取り外します。
正常なものと同じ位置にフランジをずらし、ハンダごてで溶かして固定しました。
これを取り付けます。
正常な方はTDCセンサの位置へ(左上の写真)
改造した方はRPMセンサの位置へ(右上の写真)
エンジンを始動してみると綺麗に始動
エンジンがかかったと言うことはセンサがちゃんとパルスを出しているということ
暖機して温間時始動不可の状況を作ってやり再始動のテスト
無事始動!
買い物にも行き、エンジン熱くなっているところで何度も再始動のテスト
必ずかかります!