イタリアの自動車

FIAT CROMA TURBO i.e.

 tipo4プロジェクトのフィアット版です。ランチア・テーマ、サーブ9000、最後に出たアルファ164が兄弟です。
テーマと164はセダン、サーブはセダンと5ドア両方、フィアットは5ドアという感じで顧客ターゲットが違います。
クロマはヨーロッパで人気のある5ドアハッチバックのスタイルですが、
ジウジアーロの巧みなデザインでぱっと見4ドアセダンに見えます。
大きく開くリアゲートは普段の暮らしのなかでとても便利で、
スキーなどは5人乗車して行くことが可能でした。

エンジンは2リットルですが、車幅で3ナンバーになる車です。
大きいのに小さく見える巧みなデザインで、寸法を見るとこのクラスの国産車に比べて
ホイールベースの長さに対して幅が広いのが良くわかると思います。
タイヤの配置がより正方形に近いのです。
多分この寸法がこの車を(Tipo4全体)美しく見せていると思います。

イタリアの車はみなそう感じるのですが、正面、側面から見るとあまりかっこよくないです。
斜め前方、斜め後ろからみたスタイルがなんとも言えない美しさがあります。
最近のクーペフィアットなどまさに真横からは見れたもんじゃありません。
クロマもテーマもサイドウインドウの立ち方が前から後ろに向かって変化する所なんか
この時代の日本車には絶対に無いデザインです。

便利なだけでなく車いじりの楽しみも堪能しました。
なにせドレスアップパーツはおろか、通常の交換部品もなかなか手に入らない状況でしたから。
イタリアで部品買って、できることは自分でやりました。

嬉しいのは同じ車にまずすれ違わないことです。
当時時々白のフルエアロやシルバーのを見かけたりしましたが僕が乗っていた赤は一台も見ませんでした。

ナンバーも多摩33はイーナイーナで愛嬌あって良かったです。

クロマとは8分音符のことです。
初期のデルタインテグラーレと同じ8バルブのツインカムエンジンを積んでいました。
i.e.はインジェクションエレクトローニコの略で電子燃料噴射と言う意味です。

この車は大きな故障と言うのは無かったです。
ハブベアリングの摩耗による交換とかパワーシートがリクライニングした直後動かなくなったりとか
シフトリンケージのバーが折れたことぐらいでした。

フィレンツェのアウトリカンビで折れたシフトリンケージバーのことを身振り手振りで一所懸命説明していたら
おじさん倉庫へ行ってあっという間にお目当てのパーツを持ってきて、
にこにこしながらここが折れたんだろ?と指さすのです。
どうやらこの部品イタリアでも毎回同じ場所が折れるらしく部品屋のおじさんもすぐにわかったようです。

僕はこの頃、海外旅行添乗員でしょっちゅうイタリアに行っていたのでクロマの部品はイタリアで買ってきていました。
フィレンツェとローマに一軒ずつ顔なじみになった部品屋があります。

買ってきた部品は
ヘッドランプ・ブレーキパッド・フロントハブベアリング・シフトリンケージバー・ラジオアンテナ
ジュントオモチネチック(ドライブシャフトのユニバーサルジョイント)純正ホイールキャップ、などなど、、、、
その他、この車のためにBETAの工具を買いそろえたりしました。

アメリカではFIATのことを何て言うか知っています?

Fix It Again Tony(トニーまたこれを直してくれよ)の略だそうです。

 とても気にいっていた車だったので大切にしていたのですが、
ある日、路上駐車してレストランで食事をしていた時ドカーンと事故の音、
なんだなんだとレストランの外にでてみると僕の大事なクロマが、、、、、、こんなになっていました。
酒酔いのスズキアルトがノーブレーキで突っ込んだのです。

屋根まで曲がってしまっていたので、泣く泣く廃車にしました。

これは元気だった頃のクロマです。

今でもこのまとまったデザインとパッケージングが大好きです。
もし 宝くじあたったら、この車にテーマ8.32のエンジン入れてフェラーリレッドに塗ると言うのを本気で考えていました。

雨ざらしなのでだいぶ古くなってしまいましたがこの頃の
ホイールキャップ欲しい方差し上げます。 2003年1月16日現在


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