上海のページ
  シャンハイ

 
TEXT&PHOTO 清川 東 http://homepage.mac.com/bachgoo/

 
 SARS厳戒態勢の中、中国・上海へ行ってきました。一緒に行くハズだった友達が
ドタキャンしてしまい、初めての1人海外となりました。でも、今回は行く前からな
にかと風あたりが強く、タフになっていたのでかえって行きやすかったです。行きの
機内ではマスク率99%の中(ボクはしていなかった)、医師団による体温チェック
という歴史的瞬間を目のあたりにしました。

 浦東空港へ着いてもたついてたボクは本日最後の客になってしまい、白タクのおっ
ちゃんの絶好の餌食になりながら両替をすると、今度は中国通貨がハンパなく安く、
大量の札束となってかえってきてしまい、後ろを振り向く余裕はなくあわてて物かげ
に隠れて財布につっこむが入りきらず、半分はリュックに押しこんで逃げるようにエ
アポートタクシーに乗りこみました。

 窓の外は雨、日本でみてきた中国の天気予報もずっと雨でした。車中、人を轢きそ
うになるも全くたじろがない通行人をみました。タクシーを降りると雨はやんで、香
港や台湾と同じ匂いがしました。甘酸っぱい中華圏の匂いがしました。以降、滞在中
に傘をさすコトはありませんでした。

 2ツ星ホテルのフロントでも体温チェックがあり、37度ありましたが強引にチェ
ックイン。部屋はトイレが流れずシャワーが出ませんでしたが、何の問題もありませ
んでした。夜中、ローソン(羅森)でミネラルウォーターを買って、誰もいない繁華
街を歩きましたが、知らないオジさんが後ろからついてくるのでホテルへ戻りました。

 夜明けを待っていよいよ散策。日本では考えられない程、朝からみんな元気です。
太極拳をやる人、凧上げする人、自分の頭をずっとぶっ叩いている人…、思い思いの
運動法を実践しています。地図をみながら歩き進めると老上海というタマゴ型の(も
とは城壁でかこまれていた)旧建築街へ入ってきました。日本では行く前から「上海
は近代的になってて、みるトコないよ」と言われてましたが、そんなコトないです。
近代的になってるのは表面だけで、まだまだ貧しく、なにより人間の匂いが残ってい
ます。帰りに屋台でニラ餅を買ってホテルの部屋でたべました。

 それからVCDショップをくまなく歩きました。映画ソフト(VCD)が1枚10元(
150円)と夢のようなお値段ですが、買うものは結構悩みます。きっとお金持ちに
なってもこの感覚は変わらないのだろうな〜。映画ソフトは香港モノ、韓国モノ、イ
ンドモノetc、いろいろありますが、日本映画は黒澤映画と高倉健モノばかりでなぜ
か現代モノがほとんどありませんでした。

 その後、小龍包をたべて再び老上海へ。中国人のディープな生活ぶりをこまかくみ
ました。上海の人は小鳥が好きで、いたる所から鳥のさえずりが聞こえてきます。そ
して、みんなのどかながらも生きたいように生きてる感じがしました。帰りに、足が
不自由でも車椅子が買えず、アルミの洗面器をお尻にくくりつけてカンカン音をたて
ながら腕で歩く物乞いをみました。

 夜は誤算でしたが、上海の夜は早いんです。繁華街でも10時過ぎるとどこも閉店
してしまって夕食をたべそこねてしまいました。さんざん歩いてやっと遅くまでやっ
ている火鍋やさんをみつけました。が、注文のし方が全くわからず、とりあえず空心
菜と魚丸を頼み、店員も何言ってるのか全くわからないので調子よく返事していたら、
ドサッと山のような空心菜と山のような魚丸、そして誰が食うの??ってくらい大量
の鍋がぐつぐつぐつ…。注文表には「3人前」(!)って書いてありました。1人な
のに…。それでも半分くらいたべました。妊婦のような腹をかかえて帰宿…。

 翌日も朝から老上海&VCDショップ。南市界隈を徹底的に歩く。貧しい街並にぼっ
かりと近代的なレストランが建っているのが上海です。自然食レストランでチャーハ
ンとほうれん草のスープを頼みました。癒された…。

 それからも老上海の奥へ奥へと入っていきました。だんだん貧しくなってきて足が
すくみました。それでも吸い込まれるように歩けるのは、貧しいけれどみんな明るい、
貧しいけれどみんなたのしそうだからです。オンボロの街や建物に人々の生活の匂い
が染み込んでいて、無機質なコンクリートや科学に犯されていない、あたたかくて情
緒的な暮らしがそこにはありました。いいダシがとれそうです。ここにくるだけでも
価値がありました。

 老上海をヌケ、VCDショップに寄り、昨日の二の舞いを踏まぬよう夕刻過ぎにホテ
ルに戻りました。第一食品商店(スーパー)でおみやげを買ってから地鉄(地下鉄)
に乗ってお粥やさんへ。広い店内に客はなく、店長さんが日本語の教科書もってボク
のとなりに坐りました。「あなた名前何ていうの?」「清川 東 です」「おーあなた
清川 東(チンツァン・トン)ねー」と店長さん(劉さん)はずっと質問責めでお粥
の味もよくわかりませんでしたけどいい人でした。地鉄に乗ってホテルへ帰りました。
もうこの街ともお別れです。南京東路のベタつくような電飾を眺めながらせつなくな
りました…。

 早朝、朝市を歩いてから南京東路を後ろ歩きで歩いてみて前向いて歩いてホテルを
チェックアウトしました。上海、マジで面白かったです。謝謝。

( 特別感謝・BLISS、石黒 康、上海のみなさん、All Friends & Lovers )


 
1 雨がやんで開店前の修繕店。
  シブイです。
2 おつかいで酒瓶を2本買う少女。
  このあと店先で交互にラッパ
  呑み。
3 足を洗ってもらう少年。
  カタギになるつもりらしい。キモチよさそう。

 
4 屋台でニラ餅を買いました。
  オバちゃんは終始笑顔。
5 盗んだバイクで走りだす。
  ノーヘル、2ケツで首都高を爆走中。

 
6 午前中のひととき。
  仕事はそんなに忙しくありません。
7 竹椅子に腰掛ける少女。
  うつむき加減がセクシーでした。
8 青空マージャン大会。
  メンバーは萩原聖人、蛭子能収、秋元康、加賀まりこ。

 
9 瓦礫の向こうは新都市開発。
  上海は貧富の差が激しかった。
10 火鍋と魚丸と空心菜。
   オーダー表には3人前の文字が…1人なのに…。

 
11 老上海の迷宮にはまり込んでしまった。
   ドアの向こうは四次元世界…。
12 急須を持つ老人。
   いい表情をしています。
13 つい目が合ってしまった少女。
   紅い髪飾りがイカしてます。

 
 

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