撮影日誌 「バッチ・グー」

 この自主映画の発想は中1の頃からあった。タイトルは「ツヨシとカヨ」だった。
 念願が叶い、今日は一番重要な片山、佐藤の共演シーン。最初は図書室、そして
ロケへ。カヨちゃんのおいしそうな足はみるみる蚊にくわれた。「キンカンプレゼ
ントするから」カントクもノッている。
 天気が気になってくる。しかし、今日はみんなミョーにノッてて、ノルマはとっ
くに撮り終え、クライマックスシーンの撮影。
 その頃から雨がしとしと。しかしこの雨がなかったら、このシーンのよさは出な
かっただろう。ウラ方、役者の心がひとつになった。
 耳には雨音が「サー」、そこにボクのヨーイスタート。最後の片山の走るシーン
は感動的だった。今日のシーンすべて撮り終え…とした時、大雨。
 ボク、片山、佐藤の3人は学校へ急ぐ。前がよく見えない。大声で「よかったよ
かった」「青春だぁ」「最高」etcと叫び、映画より感動的だった。
 学校で雨やどり。1人1人さっき撮ったテープをカメラで見る。ゲラゲラ笑って、
はたからみればきちがいである。ボクは3人の才能がMIXされた結果、成功した
んだと思う。ボクは「この世界に入ったら、ぬけ出せなくなるぞ」と言った。
 いつまでも、ぬけ出したくなかったから言ったのだと思う。
                    
                     '91.9.10. 石原ようすけ( 清川 東 )